約 3,642,669 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4327.html
「ゆっ!ゆゆっ!?ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていっ・・・なんじだとおもってるの!?ばかなの!?」 「ばかなんだぜぇぇぇ!」 「わかるよぉぉぉ!ばかなんだねぇぇぇぇ!」 「ばきゃなのぉぉぉ?」 早朝3時、俺の朝は早い。 ここは人間の里から少し山を登ったところにあるゆっくりの群れ、 寝ぼけたゆっくりが早漏なゆっくりを披露したそばから 罵声を浴びせられるという微笑ましい光景をよそに 人間はゆっくり達に気づかれないよう静かに歩みを進めていた。 先日下見に行って目印をつけておいた巣には ゆっくりまりさと目的のゆっくりれいむがアホ面で「ゆぴぴ」と寝息を立てている。 人間はその頭から茎を生やした身重のれいむをそっと胸に抱く 「ゆぅゆぅ・・・おちびちゃん・・・それはうんうんだよ・・・ゆっくりできないよ・・・」 これから始まる新生活への期待と不安がれいむの寝言からも伺える。 「れいむはお母さんになるのだな」 人間はそう呟き、はにかむとれいむを起こさないよう注意深く巣を後にした。 一人残されたまりさ、仰向けで大口を開けて幸せそうな顔をしている。 暫くはもうそんな幸せな顔はできないだろう。今だけはゆっくりしていってね。 たどり着いた先は人間の里、ゴミ捨て場の横に聳え立つ電柱である。 時は一刻を争う。失敗は許されない。 人間はれいむを空中へ放り投げ、素早く壁を蹴り塀の上へ!そこから電柱へ飛び移り足場に足を絡める。 落ちてくるれいむをキャッチ!反動は膝のクッションで限りなく0へ! 起こしてしまえば全てか水泡に帰する。 人間はれいむを頭の上に乗せ、バランスを取りながら細心の注意を払い、電柱を昇って行く 揺れるれいむと頭から生えた茎、老朽化した電柱の足場はグラグラと揺れ、引っ張れば容易く抜けてしまいそうだ。 まだだ、落ちるのは事を成してから・・・!人間は一時間かけて電柱の頂上まで上り詰めた。 「・・・ゆっくりしていってね」 起こさないよう小さく呟くと電柱の頂上にそっとれいむを置いた。人間はそのまま足場から飛び 知らない人ん家の屋根に転がり落ち、瓦を撒き散らしながら下水に落ちてアバラが三本逝った。 「ゆっ!ゆゆ!ゆっくり起き・・・・どごな゛の゛ごご!!」 カラスの泣き声でゆっくりと目を覚ましたれいむは開口一番、誰もがこうなったら確実に言うだろう台詞を絶叫した。 どういうことなのか?自分は森の巣の中でゆっくりと眠りについた筈である。 確かにれいむは昔、親れいむに「おちびちゃんは寝相がわるいね!でもそんなところもゆっくりできるよ!」 等と言われた事がある。甘やかされて育てられた結果がこれだよ!寝相が悪いにも程があるでしょう? 「お゛っ!お゛がぁぁざぁぁん゛!」 思わず母の名を叫ぶれいむ、360度広がるパノラマワイドな光景に気が遠くなる。 まるで地面がれいむを呼んでいるかのように、体がゆらゆらと揺れる。吸い込まれる。 「じめんさん・・・!れいむをよばないでね!ゆっくりむこうへいってね!そしてみえないところでしんでね!」 誰も居ない地面に向かい呪いの言葉を吐くれいむ、カラスが「俺!?」みたいな顔をして鳴いたりしている。 そうだ、こんな時こそゆっくりだ!と「ゆっくり、ゆっくり」等と連呼して無理やり笑顔を作ってみるが 汗が滲み、涎は垂れ、目はキョロキョロと忙しなく動く、全然ゆっくりできない。できるわけがない。 「ゅ・・・」 そんな時、声が聞こえる。声の主はれいむの頭の上から伸びた茎からである。 「おちびちゃん!おちびちゃんの声がゆっくりきこえるよ!はやくおかあさんとゆっくりし・・・・」 無理である。器用にグルグルとその場を周り足場を探すが5回程回ったところで 電柱の上はれいむ一匹で定員オーバーである事に気が付いた。 いや、待て待て、もう少し回れば足場さんがゆっくり足場を増やしてくれるかもしれない。 もう少し回っ・・・ゆっくり!ゆっくり!落ち着け平常心 「ゆげぇ!?おちびちゃん!うまれないでね!まだまだそこでゆっくりしていってねっ!」 汗を垂れ流しながら茎の赤ゆっくりに笑顔でゆっくりだよ!ゆっくりだよ!と語りかけるれいむ。 茎から垂れ下がって目を閉じ笑顔を浮かべている赤れいむ3匹と赤まりさ2匹が若干いぶかしげな表情になった。 既に赤ゆっくり達には自我が目覚めていた。 茎から伝わってくる親れいむの喜怒哀楽の感情を感じることもできたし 隣にいる姉妹と簡単な意思の疎通も可能であった。 (おかちいね)・・・(産まれてこないでっていってるよ)・・・(なにやらゆっくりちてないね)・・・(おなきゃすいた) (ゆっくち待とうか?)・・・(れいみゅはとっとと産まれたいよ)・・・(おなきゃがすいたよ) (まりさが産まれればおきゃあさんはおのずとゆっくりできるのじぇ)・・・ (言うとおりゆっくり待つべきだよ)・・・(そんなことよりおうどんたべたい) (さっきからばきゃがひとりまじってるよ)・・・(ばきゃはだまっててね)・・・(ゆぎぃ!) (けんかはやめちぇね、おねぇちゃんがゆっくち産まれてみてくるよ)・・・ (おねぇちゃん!)・・・(ゆっくりきをつけちぇね)・・・(おうどんたべたい)・・・(ばきゃはだまっててね)(ゆぎぃ!) 先端の赤れいむがムズムズと動きはじめる。もみあげをピコピコと動かして茎から落ちようとしている。 それを見て目が飛び出さんばかりに焦る親れいむ 「どぼじでう゛ま゛れ゛でぐる゛の゛ぉぉぉ!?ゆ゛っぐり゛!ゆ゛っぐり゛だよ゛ぉぉぉ! 無駄だと分かっていても右に左にグルグルとその場を回り赤ゆっくりの着地ポイントを探す親れいむ、 そうこうしている内に長女赤れいむと繋がっていた茎は切れ、落下した。 産まれた喜びとこれから始まるゆっくり新生活に期待を膨らませ、それを全身で表現 「ゆっく」 ・・・・する間も無くどんどん親れいむと離れていく長女赤れいむ。地面さん遠すぎるでしょ? 一瞬見えた親れいむの顔はなにやらブサ・・・ゆっくりしていなかったような・・・?あれ・・・?にゃにこれ・・・? 眼下に広がる光景を見てゆっくりとした長女赤れいむの餡子脳にもようやく状況が飲み込めたらしく ホロリと一筋の涙をこぼし、残されたわずかな時間だけでもゆっくりしようと笑顔を作る。 「ちうまれちゃかったよ」 パチンと乾いた音を響かせ、地面の染みになった。 いつまで経っても聞こえてこない長女赤れいむの産声に茎の赤ゆっくりたちは不安を募らせていた。 (おねえちゃんゆっくりしすぎだよ)・・・(はやく声をききゃせてね)・・・(おそすぎりゅよ) (おそとはゆっくりできなかったんだよ)・・・(まりさはここでゆっくりちていくのじぇ)・・・(ゆっくりゆっくり) (はやくだれきゃ様子をみにいってね)・・・(かってなこといわないでね)・・・(うんうんするよ!)・・・(産まれてからにしてね) 茎から伝わってくる親れいむの焦りの感情、産声を上げない長女赤れいむ・・・ その二つの情報から導き出される答えは明白であった。産まれたらゆっくりできない。 誰ひとり長女赤れいむの後を追うものは名乗りをあげなかった。しかしここにはずっと居られないのもまた明白である。 自分の意思で茎を切らずとも、時が来れば自然に茎は切れる。それは時間の問題であった。 そして長女赤れいむが居なくなった為に一番先端になった赤まりさの茎がムズムズと動きはじめる。 (ゆんやぁぁ!まりさがうばれるのじぇ!?)・・・(おねえちゃんゆっくりしようね)・・・(ゆっくりいかないでね) (とっとといって様子をみてきちぇにぇ)・・・(しょんなこといわないでね)・・・(あすはわがみなんだじぇ) 次女赤まりさの茎が切れ、落下を始める。しかし親れいむは見ていた。 充血しきった目、瞬きもせずその時を待っていた。勝算はあった。舌を伸ばして絡め取る! 「ゆっくりうまれたかったのじぇ」 長女赤れいむと同じ台詞を呟き、奈落へ消えていく次女赤まりさ その2秒後、次女赤まりさが通った軌道に舌がビローンと伸びる。 「ゆっぐり゛ま゛に゛あ゛ま゛ぜん゛でじだ!!」 あまりにもゆっくりしすぎた反射神経、希望が滑り落ちてゆく、 成すすべも無くブサイクな顔で地面を覗き込む親れいむ。 「ゆゆっ!?」 潰れた餡子の跡はひとつ、長女赤れいむの物しか無い。 おかしい、今落ちた次女赤まりさの残骸が見当たらないのだ。 奇跡的に何処かに引っかかったのかと思い、身を乗り出し電柱の周りを見渡す親れいむ。 「ゆゆゆゆゆゆっ!・・・まるでおそらを・・・どん゛でる゛!め゛っ゛ぢゃ゛!どん゛でる゛!」 何故か上空から聞こえる次女赤まりさの叫び声、そして声を辿ると、羽ばたくカラスのくちばしの先っぽ そう、落ちる次女赤まりさをカラスが拾ったのである。 「ゆぅぅん!ありがちょぉぉ!まっくろふわふわさん!まりちゃをおきゃしゃんのところにおろすのじぇ!」 「カラスさん!おちびちゃんをゆっくりこっちに連れてきてね!」 そんなゆっくり達の呼びかけにカラスが答えるわけもなく地面に着地し、次女赤まりさを吐き捨てた。 「ゆべっ!ちがうのじぇ!おきゃーしゃんはあっちなのじぇぇぇぇ!ばきゃ!くろふわばきゃ!」 カラスに体当たりをする次女赤まりさ、カラスはそれを華麗にスルーし、 次女赤まりさの着地のタイミングにあわせてクチバシを振り下ろした。 「ちゃっちゃとまりさをちゅれてっ・・・・ぴゅぺ!?」 帽子を貫通し、脳天に大きな穴が開いた次女赤まりさ、まだ自分に何が起こったのかわからずキョトンとしている。 親れいむが電柱の上からボタボタと涙をこぼしている。 「ガラズざん゛!!やべでね!まりざはゆっぐりじだおぢびぢゃんだよ!!」 「なんきゃきゅうにきゃらだがおもくなっちゃのじぇ」 突然体がだるくなったのでお母さんの所へ行くのは少し休んでからにしようと思い よろよろと電柱の根元へ移動しようとする次女赤まりさ、そこに再びクチバシが振り落とされる 「ゆっくちやす・・・むべっ!・・・ばひゅ!・・・ゆっくっ!・・・にげっ!・・・わびゅ!」 数回クチバシに突き刺されグシャグシャになったところで 自分の始まったばかりの人生が早くも終わりを告げようとしている事に気がつく次女赤まりさ 「きゃわいい・・・まりちゃ・・・を・・・ゆっく・・・ち・・・ちゃ・・・ちぇ」 カラスは次女赤まりさをすくい上げるとゆっくりと租借した。 クチバシの隙間から時折見える次女赤まりさは徐々にミンチになっていった。 「ゆ゛っ・・・・ぐ・・・・ち」 帽子はもはや原型と留めず、髪は所々引きちぎれ、右目は大きく露出し、歯は殆どが欠けていた。 つい数秒前までの愛くるしい顔の面影はもはや無く、苦悶の形相を浮かべている。 カラスは租借をやめると上を向き、次女赤まりさを飲み込もうとクチバシと喉を小刻みに動かした。 「ゅ゛・・・ゅ゛・・・ゅ゛・・・」 ゆっくりとカラスの胃袋に収まる次女赤まりさ、カラスは次の獲物を求め飛び去っていった。 「どぼじでごん゛な゛ごどにぃぃ!」 涙を滲ませる親れいむ、しかしグッとそれを堪える。 ダメだ、泣いてる場合ではない、 死んでいったおちびちゃん達の為にも残りのおちびちゃん達を絶対に下に落としてはいけない。 どうすればいい?どうすれば・・・?ゆっくり、ゆっくり 焦れば焦るほど思考は空回りし、考えはまとまらない、万策尽きて天を仰ぐ親れいむ そこにはそんなゆっくり達の心情とは裏腹にゆっくりしているお日様さん、 それに凍った笑顔でゆらゆらと揺れる赤ゆっくり達・・・ 「お、おちびちゃん!」 今、気が付きました。 上を向く事により茎はしなり、赤ゆっくり達は親れいむの眼前に位置を変える。 こうすれば後は先程のように落ちて急に視界に入ってくる赤ゆっくりを ゆっくりとした舌でキャッチ等という無謀な賭けには出なくて済む。 上を向いてアホ面で舌を出していれば勝手に赤ゆっくりは舌に着地するのだ。 しかしこの体勢、顔だけのゆっくりには相当キツい、 人間で言えば直立姿勢から首を動かさず、腰を逆に曲げて天井を見続けているようなものだ。 「ゆ゛っく゛り゛し゛な゛い゛でうばれ゛でね゛!」 長女赤れいむに続き、次女赤まりさの産声も聞こえない。 茎から伝わってくる親れいむの焦りの感情は先程から変わらない。 にもかかわらず、今度は早く産まれろと言っている。 (おかちいね)・・・(産まれてもだいじょうぶ?)・・・(だれかいってきてね) (れいむはここでゆっくりするよ)・・・(ゆっくり産まれてもおきゃあしゃんはよろこぶよ) (おかあさんのいうことはきこうね、れいむはうまれるよ)・・・(おぉ、早計早計) (もうすこしだけゆっくりするよ)・・・(ゆっくりしようね)・・・(ゆっくりゆっくり) 疑心暗鬼に陥った赤ゆっくり達をなだめてすかして4時間半 実にゆっくりと粘った赤ゆっくりたち3匹は親れいむの舌の上に産まれ落ちた。 最後まで必死の形相で産まれまいと粘っていた末っ子赤まりさが、親れいむの舌の上にふにゅん!と降り立った。 「んんっ!・・・!ゆっくちうまれちゃよ!」 無事産まれた事を心から喜び、瞳をキラキラと輝かせ満面の笑みを浮かべる末っ子赤まりさ フルフルと体を震わせてかわいさアピールタイムがはじまる。 「ころころするまりちゃをみちぇちぇね!おきゃーしゃん!ゆっくりころが・・・・ゆげぇ!たけぇ!ここめっちゃたけぇ!?」 天使のような笑顔で舌の上を転がりかわいさをアピールしようとしたが 半回転もしない内に自分が今居るところに気が付いてオッサンのような顔になる末っ子赤まりさ。 他の姉妹たちもありえないゆっくりプレイスの場所に怯え身を寄せ合ってプルプルと震えている。 「おきゃーしゃん、ここはゆっくちできないよ、じめんさんにいこうね!」 「れいむはもっちょ、ひくいところがいいよー」 「これなんてぷれいなの?たかすぎるでちょ」 みゅーみゅーとそれぞれに遠まわしにさっさと低いところに連れて行けよこのバカ、と主張する赤ゆっくり達 困った顔で舌を限界まで伸ばして小刻みに震えている親れいむ 「れいむにもわからないんだよ、それよりおちびちゃんたちは早くれいむの頭の上にゆっくり移動してね!」 いつまでも舌の上に乗っていると、親れいむの唾液によって赤ゆっくり達は溶けてしまうだろう。 何だか頼りない親れいむの言葉に不安を募らせながら次々に親れいむの頭の上に移動する姉妹 舌の上よりも若干高い上に360度に広がる絶景に赤ゆっくり達は思い思いの面白い顔になる。 「ぴっぴみゅぅ!ゆっくちできないよぅ!」 「れいみゅはもっちょ、ひくいところがいいのぉぉぉ!」 「まりさはおにゃかがちゅいたよ!ゆっくちしないでごひゃんにちてね!」 ゆっくりの中では身体能力の高いまりさ種だからだろうか? 末っ子の赤まりさだけが、早々に高所に適応し、ごはんを求めだした。 他の姉妹も恐怖が優先され忘れていたが、まりさの言葉で産まれてから何も食べていない事に気が付く。 「おきゃーしゃん!おにゃかちゅいたよぅ!」 「ゆぴゅぅ!ごひゃんたべたゃいの!」 「ゆっくちちにゃいでごはんをちょうらいね!」 「ご、ごはん・・・でもこんな所にごはんなんて・・・ゆゆっ!そうだよ!」 親れいむは群れのゆっくりが出産した後、残った茎を食べさせていたのを思い出した。 「これがおちびちゃん達の一番最初のごはんだよ!お姉ちゃんから茎の先っぽさんへ行ってゆっくり食べてね!」 この状況では自分で茎を折り、与えることはできない かと言って根元から赤ゆっくり達が勝手に噛り付けば茎は食べる部分を大量に残したまま地面に落下してしまう。 それを防ぐ為に茎の先っぽから一人ずつ順番に食べる事を提案した。 「ゆっ!ゆぴぃ!茎さんの先へいくにょ!?・・・ゆゆゆ・・・!ゆっくちがんばるよ!」 三女赤れいむが動揺しながらも茎を渡っていく、 柳の木のような形状をした茎は普通の体勢では下り坂になり、赤ゆっくりが伝っていくにはとても危険である。 そこで親れいむは赤ゆっくり達を落とさないように注意しながらゆっくりと体勢を仰向けに変えた。 頭の上から移動し、横になった親れいむの顔面に乗る形になる赤ゆっくり達、 これで茎の先っぽは上の方へ向き、下りよりも若干安全であろう。 「ゆぅーせ!ゆぅーせ!ゆぅぅぅ!たきゃいよぅぅ!ゆっくちちたいよぅ!」 「ゆっ!ゆがっ!おちびちゃん!急いでゆっくり食べてね!」 背中に電柱が食い込み、地味に苦しむれいむ。 一方、必死に茎を伝う三女赤れいむ、細い茎の下には凄まじい光景が広がっている。 涙をポロポロとこぼし、落下の恐怖に怯えながらようやく先端にたどり着き、茎に噛り付く 「むーちゃ!むーちゃ!ゆぐっ!むちゃ!むちゃ!はふっ!はむっ!」 目をギュッと閉じ、ゆっくりにあるまじき早食いの後、 膨れたお腹を茎に押し付け嗚咽を漏らし、尻から親れいむの元に戻る三女赤れいむ。 よく租借しなかった為、ゆぷっ!ゆぷっ!と苦しそうにしている。 「・・・ゆっくちごちしょうしゃまでちた」 お通夜のような顔で親れいむに感謝の言葉を伝える三女赤れいむ、 そんな有様の三女赤れいむと茎を交互に見ながら四女赤れいむはひとり静かにしーしーを漏らした。 「がんばってね!おちびちゃん!食べないとゆっくりできなくなるよ!」 「はやくちてね!きゃわいいまりちゃはおにゃかぺこぺこだよ!」 「ゆべっ!おちびちゃん!そこで跳ねないでね!そこはお母さんの眼球だよ!」 親れいむのまぶたの上でぼいんぼいん!跳ねる末っ子赤まりさ、 そして顔面蒼白で満面の笑みを浮かべる親れいむ。めり込んだ電柱が薄っすらと顔に浮んでいる。 産まれてから何も食べていない赤ゆっくりはすぐに衰弱して茎に登る体力すら無くなってしまうだろう。 面白い姿勢を続けている親れいむの限界も近い。何気に一刻の猶予も無かった。 そして末っ子赤まりさは3匹のれいむ気持ちなどお構い無しにその場で飛び跳ね。四女赤れいむを急かす。 「ゆっ!ゆぐっ!ゆぐり!い゛できまちゅ!」 ヨロヨロと茎に乗り先っぽ目指して進む四女赤れいむ、三女が食べた分だけゴールは近いのだが 恐怖のあまりなめくじが這うよりそのスピードは遅く、目も虚ろで今にも落ちてしまいそうだった。 「ゆっ・・・ゆぅゆぅ・・・ゆぅー・・・せ・・・!ゆぅ・・・きょ・・・きょわいょぉぉぉ」 「ゆっ!おちびちゃん!無理しないでね!もうそこでいいからゆっくり食べて戻ってきてね!」 四女れいむの限界を察知した親れいむは茎の多少の損失は仕方なし、と食べるように促した。 「ごっ!ごべんなちゃい・・・!れいみゅはここでゆっくちたべるにぇ!」 もそもそと茎に噛り付く四女れいむ、初めて口にする食べ物の味、それが四女れいむの心を少しだけ落ち着かせた。 口の中に広がる甘さとほんの少しのすっぱさ、おいしい、しあわせ、ぽかぽかとした気分、そうか、これがゆっくりなのか 「むーちゃ・・・むーちゃ・・・しっ・・・しあわせー♪」 顔を綻ばせ産まれてはじめてのゆっくりに酔いしれる四女れいむ、 高くて辛くて苦しくて悲しかったけどこの気持ち・・・ゆっくりがあれば生きていける・・・! きっとこうやって日々ゆっくりを感じてれいむは生きていくのだろう。そう思った。叫ぼう、もう一度叫ぼう。 「しあわせぇー!」 「ちやわちぇー!」 後ろから四女れいむに負けじと劣らない幸せそうな声が聞こえる。 末っ子赤まりさの声だ。れいむの幸せそうな声を聞いてつられて幸せになってしまったんだろう。 この子はどこか他人を思いやらないゆっくりできない子だと思っていたがどうやらそれは間違・・・ 「ゆあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛な゛に゛じでる゛の゛お゛ぢびぢゃ゛ん゛!!」 「やめちぇね!ゆっくちたべるのをやめちぇねぇぇぇ!」 末っ子まりさは茎の根元に、はむっはふっはふっと噛り付いていた。 それを号泣しながら親れいむと三女れいむが見ている。 「ゆ・・・ゆゆ・・・ん?」 ふわっと体が軽くなる四女れいむ。足場が沈んでいく。 あぁ、まりさが食べたから茎さんが折れちゃったんだね・・・ゆっくちしないで理解したよ、 まりさはお腹が減ってたんだね。れいむがゆっくり待たせすぎたね。仕方ないよ。ゆんゆん。仕方ないよぅ。 「ぞん゛な゛わ゛げな゛い゛でち゛ょう゛!!」 クワッと形相を浮かべ叫ぶ四女れいむ、このばきゃは何故お母さんの言いつけを守らないでこんな事をするの? 馬鹿なの?死ぬの?ゆんゆん、このままだと死ぬのはれいむなんだね。絶対に許さないよ、このゲスまりさ 死ね!ゆっくり死ね!いや、このままだと死ぬのはれいむ、死にたくない、産まれてまだ何分? もっとゆっくりしたい、もっと、もっとゆっ 「ゆっくりしていってね!!!」 咄嗟に絶叫する四女れいむ、死に直面し様々な思いが交錯し紆余曲折、色々巡って出た言葉がこれだった。 「「「ゆっくりしていってね!」」」 思わず返答する3匹、全員もれなく満面の笑顔だった。 折れた茎と共に奈落へ消える四女れいむ、その直後、パチン!という乾いた音が鳴り響いた。 「ゆあああああ!おちびちゃんが!おちびちゃんがぁぁぁ!」 「ばきゃぁぁ!まりさのばきゃあああ!」 親れいむはおでこ方向に涙を流しながら叫んだ。 長時間のうつ伏せで餡子が頭によってしまい酷くブッサイクだ。 三女れいむは、落下の危険も顧みずまりさに体当たりを仕掛けようとにじり寄る。 末っ子赤まりさはクッチャクッチャと茎を噛み締めて「ちやわちぇー」と目を輝かせている。 「まりさはずっとまっちぇたんだよ!ゆっくりあやまるのはそっちにょほうだよ!ぴゅんぴゅん!」 ぷくぅ!と膨れ上がる末っ子まりさ 「ゆぴぃ!」 一番弱いはずの末っ子まりさが突如バンプアップし屈強な姿になった事に驚き ころんと尻餅をつく三女れいむ、ゆわわ、ゆわわと歯を鳴らし怯えている。 「やめてね!おちびちゃんを苛めないでね!おちびちゃん!」 頭の上で争う二匹をなだめる親れいむ。全ては自分の不注意のせいだ。 寝ている間にゆっくりこんな所に移動してしまい沢山の子供を失ってしまった。 こんな場所じゃなければゆっくりと教育できたのだ。末っ子赤まりさは悪い事をしたが それが悪い事と知らなかったのだ。ゆっくりと許し、ゆっくりと教育をすればいいのである。 それが死んだ四女れいむへのたむけにもなるだろう。 「喧嘩はやめてね!仲良くしようね!これからゆっくりと二人を教育するからね!ゆっくりしようね!」 目に涙を一杯に貯め、叫ぶ親れいむ。 その姿は子供に言っているというよりも自分に言い聞かせているようだった。 「ゆ・・・ゆゆぅ・・・!」 「うるちゃいよ!はやきゅかわりをもっちぇきてにぇ!」 従順な三女れいむは末っ子まりさを睨み付けながらもそれに従った。 決してまりさを許したわけではないが、喧嘩をしかけるような事はもうしないであろう。 そんな思いもしらずに末っ子赤まりさは限界まで食べれなかった事が不満らしく 親れいむの顔面に体を何度も叩きつけている。 そこへさっきとは別のカラスが親れいむの顔面の上にとまった。狭い、狭すぎる 途端に「ゆげぇ!?」と死にそうな顔になる赤ゆっくり達、親れいむも突然の来訪者に顔を強張らせる。 「ゆ、ゆっくりしていってね!」 「カァー」 「ゆっくりできないなら出て行ってね!」 「カァー」 「ゆっくり死ね!」 双眼鏡を下ろした男は口に手を添え、叫んだ 「ゆっくりと生き延びてね!れいむ!」 「喋らないでくださいね。肋骨が肺に刺さってますから死にますよ。」 「い゛だいいぃぃ!ちぇんちぇえぇぇ!お゛に゛い゛ざん゛をだすげでねぇぇ!」 担架で運ばれていく男、ゆっくりを危険な場所へ放置しその生き様をウオッチングすることに 人生をかけている男、男にとって今回のような怪我は日常茶飯事であった。 おしまい 前回書いた「ゆっくり見せしめ」で、予期せぬ設定スルーと 物理的に不可能な動作と不自然なくらい価値の安い蜂蜜があったことを深くお詫び申し上げま・・・ゆ゛っ!? このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4388.html
登場キャラクターはゆっくりのみとなっています 見づらくなることを考慮して全部漢字を使います。 かなりグロ表現あり、ダメな方はユーターン スペックの高いれいむがでます すっきりできない可能性があります 初投稿になります 森の山奥、ここには人間が放棄した研究施設があった。 ここを、ドスを中心とするゆっくりの群れが罪を犯したゆっくりを処罰する刑務所として使っていた。 だが刑務所とは名ばかり。 ドスに逆らったゆっくりを収容し、逆らうゆっくりに対し大量殺ゆっくりを行なったり、洗脳したり 自分の群れが最高のゆっくりの群れとなるべく、ゆっくりによる改造実験が行われる地獄のような 施設であった。 そしていつからか、この施設は群れのゆっくりたちからこう呼ばれるようになった。 『施設』と 死のゆっくり ゆっくりれいむとゆっくりまりさの夫婦はここ最近この格好のゆっくりプレイスに引っ越ししてきた あつあつな夫婦であった。 以前住んでいた巣では子供を育てるのには面積が圧倒的に足りなかったため、数日前にここへ 引っ越しを済ませたその日にため込んでいたすっきりをし、昨日の昼ごろ、待望の赤ちゃんを無事出産した。 れいむ種3、まりさ種2の計五匹だ。 「「ゆっくりおはよう!!」」 「「「「「ゆっきゅりおはよう!!!!!」」」」」 母役であるゆっくりれいむは幸せであった。 引っ越し早々にこんな素晴らしいゆっくりプレイスを伴侶のまりさと見つけることができ 子宝に恵まれた。これで幸福でないという方が難しいであろう。 伴侶のまりさは朝の挨拶を済ませると早々に狩りへ行き、家はれいむと赤ちゃんたちだけになった。 まりさがいない間、れいむは生まれたばかりの赤ちゃん達にこの世がいかにゆっくりできるかを 教えていた。 「いい?ゆっくりはこの世でもっとも崇高で素晴らしい生き物なんだよ!! 他の生き物はゆっくりに仕える事が最高の幸せなんだよ!! おちびちゃんたちも他の生き物達にゆっくりつかえさせてあげてね!!」 「「「「「ゆっくちりかいちたよ!!!」」」」」 れいむはこのようにして子供たちに教育していた。 この子たちの将来はおそらく畑の肥料だろう。 れいむが赤ちゃん達に教育をしていたその様子を一匹のゆっくりが見つめていた。 「・・群れに届け出がないゆっくり・・・ドスに報告だよ」 その夜、れいむ一家は未だ帰ってこないまりさに心配しつつ、お腹を空かせていた。 食糧はため込んでいたとはいえ、食欲旺盛な赤ゆっくりが五匹もいればあっという間に 食いつくしてしまう程度しか溜まっていなかった。 昼ごろにはれいむ一家はまりさが帰ってくると踏んで食いつくしてしまった。 ぐずる子供たちを、れいむはす~りす~りして慰めていた。 「ゆ~!!おなかちゅいたよ!!ごひゃんちょうだいねぇ!!」 「ちょうだよ!!まりちゃがきゃわいきゅにゃいの!!」 「「「はやきゅごひゃんちょうだいねぇ!!」」」 「ゆ~・・まりさ、はやくかえってきてね・・」 赤ゆっくり達が癇癪を起し、困りきったれいむがまりさが早く帰ってくるように祈っていると 誰かがお家に入ってきた。ゆっくりみょんだった。 無断で入って来たことにれいむはイラっと来たが押さえてみょんの前に立った。 「みょん!!お前達が最近引っ越ししてきたれいむ一家だね!!」 「ゆ!!そうだよ!!みょんはご近所のゆっくり?」 みょんは険しくしていた顔をより一層険しくして 「ちがうよ!!みょんはここ一帯を取り仕切っている群れの幹部だよ!! いくつか質問があるからゆっくりこたえてね!!」 一体何を聞いてくるのだろうかとれいむは思ったが、まあどうせ大したことは聞かないだろうと思い 素直に質問にこたえることにした。 みょんの顔を見て怖がっている赤ゆっくり達には怖くないよと伝え、お家の奥に行かせた。 「みょん!!いい心がけだよ!!では第一、れいむは群れにお家を作った報告をしたか?」 「ゆ?れいむ達は群れに入るつもりなんかないから報告なんてだしてないよ!!」 このれいむは引っ越しする前、別のドスの群れにいた。 このドスはすっきり制限やら食糧制限やらを設けてれいむはあまりゆっくりできなかったため、 今後はドスの群れには入らないと決めていた。 「知らないのか?この群れでは敷地内に入ったゆっくりは強制的にドスの群れの一員になるんだみょん!」 「なんなのそれぇぇぇ!!」 理不尽な掟を突き付けられたれいむは思わず叫んでしまった。 それにたたみかけるかのように 「報告を怠っただけでなく一日分の食糧の提供の怠り、すっきり違反、さらにおまえの夫のまりさに よる狩り禁止区域での乱獲!!これはもう見過ごせないよ!!施設送りだよ!!」 「な、なんなのそれぇぇぇぇ!何か怖そうだよ!!おちびちゃん!!ゆっくり逃げるよ!!」 れいむは赤ちゃん達と逃げようと動こうとしたが、お家の入口には群れのゆっくりが待ち構えていた。 「逃げようとしても無駄みょん!!みんな!!軽くのしてから施設へ搬送するよ!!」 「「「ゆ~~!!!」」」 そういうとれいむより体がふたまわり大きいゆっくり達が体当たりをかましてきた。 避けようとはしたがよけきれずまともに食らってしまい、子共々仲良く気絶してしまった。 朦朧とする意識の中、みょんは言った 「お前の夫のまりさも先に施設でゆっくりしているから家族仲良くゆっくりするといい!! ゆっゆっゆっゆ!!」 ここでれいむは意識をなくした。 ―ーーーーーーーーーーーー れいむが目覚めると、そこはいままで見たこともない所だった。 壁や床はレンガづくりのためか一切の温度を吸収することなくいつも冷たく、 檻で完全に閉じ込められており、愛すべき赤ちゃん達の姿が全く見えなかった。 そして檻の外から様子から様子を見ると、同じようにあの群れゆっくりに捕まったと思われる ゆっくりがいた。 「ゆえ~~ん!!怖いよぉぉ!!ここから出してぇぇぇ!!! 「まりささまをとっととここから出すんだぜ!!でないと後悔するんだぜ!!」 れいむは同じようにゆっくりがいた事を知ると同時に、愛する子供と夫がどこかにいるのでは ないかと考え始めた。そう思った次の瞬間には、れいむは叫んでいた。 「おちびちゃぁぁぁん!!!まりざぁぁぁ!!どこぉぉぉぉ!!!ゆっくりお返事してねぇぇ!!」 そう檻の外へ呼びかけたものの、それにこたえる声は無かった。 他のゆっくり達にかき消されていたのだ。 「おちびちゃん・・・・返事じてね・・・・」 れいむはわが子の身を案じつつ、部屋の片隅にいつの間にか放り込まれた 食事を食べた。とても苦い草だった。 「む~しゃ、む~しゃ・・・・不幸せ~~・・・」 れいむはわが子を助けるその時に備えるため食事を我慢して摂り、 床についた。 その晩見た夢は、いつも夢に描いていた家族で過ごす楽しい一時の夢であった。 翌日 目が覚めると、れいむの入れられている牢の前に一匹のれいむがいた。 周りに2~3匹のゆっくりがいたことからこのれいむはこの施設の偉い人なのが分かった。 れいむはこの理不尽に押しつけられた苦しみをぶつけるかのように叫んだ 「そこのれいむ!!れいむは何も悪い事をしていない良いゆっくりなんだよ!! それなのにおちびちゃんとまりさをこんなところに押し込めて・・・なんの罪悪感もないの!! ゆっくり解放してね!!」 するとれいむはゆっくり目を閉じて 「そうだね、幸せな家族をバラバラにするのは良くないことだよね・・・ ゆっくりごめんなさい」 とれいむに謝罪を始めたではないか。 これにはれいむも戸惑った。 ここに無理やり連れてきて、こんなゆっくりできないところに閉じ込めておいた群れのゆっくりなのに なんでれいむに素直に謝るの?なにか裏があるの? 戸惑ったがれいむは言葉を続けた。 「だったられいむのおちびちゃんとまりさを連れてきて、ここから出してね!!」 「ゆう、ごめんなさい。それは出来ないの・・・」 と申し訳なさそうな顔で謝罪をした。 れいむは顔を真っ赤にして続けた 「何で?悪い事をしたと思うだけなら下等な人間さんでもできるよ!! ばかなの?しぬの?」 するとれいむは涙目になって 「れいむのおちびちゃんとまりさは知らないうちに掟をやぶったかもしれないから 別室で取り調べ中なんだよ・・・・終わったらみんな解放してあげるからお願いだからここで待っててね・・・」 れいむは調子が狂いっぱなしであった。 無理もない、むりやり閉じ込めた相手がこんな調子なのだから。 「だったらゆっくりここでまっててあげるからね!!ゆっくりしないではやく出してね!!」 「すぐは無理だけど、近いうちには出れるからね!! 後、ここから出れるまでにれいむのおちびちゃんとまりさはとてもゆっくりできる ようにしてあげるからね!!出る時にはれいむもとてもゆっくりできるようにしてあげるからね!!」 いささか調子が狂ったが、どうやら早いうちに出れるだけでなく 賠償としてとてもゆっくりできるものをもらえる と踏んだれいむは牢から離れようとしているれいむに 「当然の権利だよ!!出る時にはれいむをとてもゆっくりできるようにしてね!!」 と言った。 れいむは満面の笑みで答えた。子供っぽい純真な笑顔だった。 それから五日後・・・・ あの時のれいむが以前来たときとなんら変わり無い姿で現れた。 この五日間、れいむは三食毎日まずい草で過ごしていたため、相当ストレスが溜まっていた。 そのため、檻の前を看守が通るたびにおいしいご飯をもってこいやらとっととだせと口うるさく騒いでいた。 れいむはあの時のれいむがやってくるなり 「ゆ!!いつまでれいむをこんなところに入れておくの!! はやく出せ!!れいむはかわいそうなれいむなんだよ!!わかっているの!! 馬鹿なの?死ぬの?」 悪態をつきまくるれいむに対し、れいむはにこやかな顔で 「ゆっくり待たせてごめんね!!やっとここからでれるよ!!もちろんおちびちゃんやまりさも 一緒だよ!!」 「あたりまえなんだよ!!悪いと思っているなられいむを出してね!!さっさとしてね!!」 れいむはゆっくりとせずにれいむの牢の扉を開けた。 れいむは自分はかわいそうな被害者なんだぞといわんばかりの顔で 「ゆっくり遅すぎだよ!!お詫びにさっさとれいむをゆっくりさせてね!! おちびちゃんとまりさもだよ!!」 「もちろんだよ!!じゃあれいむについてきてね!!」 こうしてれいむは群れのれいむに案内されて、出口とは違う部屋に連れてこられた。 途中で出口に向かってないことに気づいたれいむはれいむに体当たりをしようとしたが、 いつの間にか四方を屈強な群れのゆっくり達に囲まれており、手が出せなかった。 連れてこられた部屋は何かゆっくりできない臭いがあった。 辺りを見渡すと、壁一面に見たこともないような生き物が不気味な声を上げながら叫んでいた。 「ゆぶぅぅぅぅ!!!」「YUYUYUYYUYU!!」 その生き物はどれもまったくゆっくりしていなかった。 ある生き物は頭と頭がくっついており、まりさ種独特の帽子を一つかぶっていた。 ある生き物は体全体から目玉が生えていた。この生き物は頭にちぇん種独特の帽子をかぶっていた。 いままで見たこともないような不気味な生き物にれいむを泣き叫んだ。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!!なにごれぇぇぇぇぇぇ!!」 「何ってひどいよ!!みんなとてもゆっくりしているのに」 群れのれいむがしゃべった。 「ゆっくりあのちぇんをみてね!!あの子は生まれたときおめめがなかったんだよ!! きっとお母さんが妊娠中に茎さんを折っちゃったんだね でもね、かわいそうだかられいむが永遠にゆっくりしちゃったゆっくりのおめめを入れてあげたんだよ!! 一個や二個うめてもおめめがなおらなかったから、たくさんれいむがいれてあげたの おかげでみてよ、あんなにゆっくりした姿になったんだよ!!」 そのゆっくりしているはずのちぇんは「ちぇんはゆっくりしてるよー」と こわれたオルゴールのように何度も同じ言葉を言っていた。 「ほかにもあのまりさ!!あのまりさはね群れでいつも悪いことをする良くないゆっくりだったんだよ!! でもね、れいむがそんなまりさの核をくっつけちゃったらあんなにおとなしい良い子になったんだよ!! ゆ!!ここからじゃわからないと思うけど、まりさの頭を核が見えるまで切って、 そこから二人の頭をくっつけたんだよ!!途中でちょっと切りすぎちゃったけど近くに転がっていた 木さんで補強したらうまくいったんだよ!!すごいでしょ!!」 そのまりさだが、顔は苦痛に満ちており時折か細い声で「ころして」と言っている。 補強に使った木の棒が二人の中枢餡子に刺さった状態になり、ぎりぎり死なない辺りで止まっているようだ。 おそらくこの二匹は、今に至るまで死んだ方がましともいえる苦しみを味わっているのだろう。 群れれいむは自分がいかにゆっくりをゆっくりさせているかを延々と話した。 その内容はれいむのしたの方にあるダムを崩壊させるのに十分な破壊力だった。 切る・埋め込むは当然で、他にも移植・毒物などをも使用していた。 うっかり失敗して永遠にゆっくりしちゃったゆっくりは、ゆっくりしてもらうために ばらばらにしてパーツにして他のゆっくりに埋めているという下りでれいむは少し吐いてしまった。 その間、れいむは以前れいむに見せた時と同じ、子供っぽい純真な笑顔だった。 れいむは確信した。 このれいむは良いゆっくりじゃないよ!!ゆっくりを死に追いやる死のゆっくりだよ!! おちびちゃんとまりさを助けてはやくここから出ないと!! れいむは延々と話し続けるれいむの話に割り込むようにしゃべった。 「れいむははやくここから出たいよ!!おちびちゃんとまりさも一緒にだよ!! だからはやく連れてきてね!!」 延々としゃべっていたれいむは少し驚いた顔になったが、すぐに笑顔に戻って 「ゆ、そうだったね!!ごめんね!!れいむうっかりお話に夢中になってたよ まりさとおちびちゃんをゆっくり連れてくるね!! みんなとてもゆっくりできる姿だから安心してね!!」 今このれいむはなんて言った。ゆっくりできる姿?そんなまさか・・ れいむのいやな予想は的中することになった。 群れれいむが連れてきたゆっくりは6匹だった。 だがどれも尋常でない様子であった。 長女れいむは足のかわりに別のゆっくりの頭が移植されており、一切の歩行ができなくなった。 その頭が原因で、さかさまの絵となっていない絵を同時に見ることになり、 吐くと吐いた物を食べるの繰り返しを長女は繰り返していた。 次女れいむは口にあたる部分にあにゃるがあり、口にあたる部分があにゃるにあった。 口を動かそうとしたらまむまむがうごき、しーしーをしようとしたらくちからしーしーが・・ くちからしーしーを吐きだす不快感から、れいむは泣き続けていた。 長女まりさは目以外の五感が破壊されており、涙だけで自分の今の状態を表現していた。 次女まりさは耳以外の五感が破壊されており、ひたすら泣きわめいていた。 三女れいむは中枢餡子と生存ぎりぎり分の餡子と皮以外何もなくなっていた。 いわゆる完全な饅頭になっていた。頭頂部にかかっていたリボンがなかったら識別できなかっただろう。 そして夫にあたるまりさは五感すべてを完全に破壊され、足も使い物にならなくなっていた。 みな死んではいなかったが三女れいむだけは反応したくても反応ができなくなっていた ため、れいむはこの二匹は永遠にゆっくりしてしまった、と判断した。 家族の変わり果てた姿にれいむは気絶しかけた。 そんな様子に気づかなかったのか、れいむは満面の笑みで話を始めた。 「どうれいむの家族は?みんなとてもゆっくりできているでしょう!! みんなゆっくりできてるあまりに吐いたり、感動の涙を流しているよ!! 一番おちびちゃんのれいむはちょっと失敗しちゃったけど大丈夫だよ!!まだちゃんと生きてるよ!!」 れいむは右から入った情報が左から出る状態になっていた。 幸せだった家族がほんの数日でめちゃくちゃにされたのだ、無理もなかった。 だが、少しづつ現実を受け入れ始めると顔がだんだん真っ赤になっていき、しずかにしゃべりだした。 「どこがゆっくりしているの?みんないたいいたいでないているのが分からないの? ちょっと失敗しちゃった?ふざけないでね、れいむとまりさの愛の結晶を殺しておいて何? ちょっと失敗しちゃったじゃないよ・・・・」 れいむは深呼吸をすると、目をカッとひらき、叫んだ 「でいぶのぉおちびじゃんをがえぜぇぇぇぇぇ!!!ぐぞでいぶぅぅぅぅぅ!!!」 怒りに身を任せ、体当たりをかまそうと猛然と突進をするも、周囲にいた群れのゆっくり達に 簡単に取り押さえられた。 ひどくなれた手つきで、群れゆっくり達は怒り狂ったれいむを部屋の奥にある部屋へと連れて行った。 その部屋は人間が残していったと思われる手術道具が台の周辺に転がっており、 台にはゆっくりを拘束するために用意したであろう拘束具がついていた。 その台を囲むようにカスタードや餡子、クリームがあっちこっちに散乱していた。 「ばなぜぇぇぇ!!でいぶをばなぜぇぇぇぇぇぇ!!!!」 群れゆっくりによって台に拘束されたれいむはひたすらあんよを暴れさせながら叫んだ。 そこに白い布のような物を身につけたれいむがやってきた。 「怖がる必要はないよ!!これからとてもゆっくりできるようにしてあげるからね!!」 そういうと、側近のゆっくりが饅頭になってしまった三女れいむをもってきた。 ピクピク震える饅頭を、れいむは近くに転がっていたメスで切りつけ、傷口から中枢餡子をえぐりだした。 ピクピク震える不気味な饅頭の震えは、同時に止まった。 「失敗しちゃったおちびちゃんがかわいそうだと思うよね!! おちびちゃんがとてもかわいそうだよね!!でも大丈夫!!れいむがれいむとおちびちゃんを 永遠に一緒にしてあげるね!!とてもゆっくりできるでしょ!!」 つまり、このれいむはれいむの中枢餡子の付近に三女れいむの中枢餡子を埋め込むというのだ。 それを悟り、必至に暴れるも、無駄な抵抗であった。 「大丈夫!!すぐすむからね!!」 そういうとれいむは咥え直したメスでれいむの頭を切った。麻酔なしで。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」 数分後 「ゆ~~ん、また失敗しちゃった!!」 れいむは頭を切るところまではうまくいったが以外に切り口が浅く、 中枢餡子がどこにあるかとついメスを深く入れて頭を穿ってしまい、中枢餡子を破壊してしまったのだ。 れいむは死ぬその瞬間まで地獄の苦しみを味わったのであろう、般若のような顔で死んでいた。 「でも大丈夫だよれいむ!!ゆっくりが世界を本来の姿に戻す頃には ゆっくりはみんな生き返る術を手に入れているからね!!それまであっちの部屋でゆっくりしててね!!」 れいむは自分の手でれいむの亡骸を未だ電気が通る大きな寒い箱に入れた。 その箱には、ゆっくりの死骸がこの世を憎むかのような顔をしながらぎゅうぎゅうづめになっていた。 エピローグ この群れの長であるドスまりさはまだ成果が出ないのかと待ちわびていた。 「れいむの報告はまだなの・・・はやく成果をだしてよ・・」 身長3メートルの巨体には自然でつく筈がないような傷がたくさんついていた。 傷の中には黒く変色している所があった。 「ドス!!れいむだよ!!ゆっくり開けてね!!」 「ゆ!!どうぞ!!」 れいむがやってきたことを知ると待ってましたと言わんばかりな顔でドスはれいむを迎えた 「ごめんなさいだけど、ドスが一番欲しいゆっくりしたゆっくりはまだできてないよ!!」 「ゆうぅぅ!!まだなの!!」 ドスは顔を真っ赤にした。 「でもね、別の欲しいゆっくりしたゆっくりなら目途がたったよ!! さっそく取り掛かるね!!」 「ゆううううう・・・仕方ないね・・じゃあ今はそっちを優先してね・・・」 ドスはしょげた顔でそう答えた。 「ゆっくり理解したよ!!でも本当にそんなにゆっくりしたゆっくりが必要なの?」 「どうしても必要なんだよ!!」 まりさは真剣な顔でそう答えた。 このドスまりさは幼いころからお母さんからあのれいむと同じような事を学んでいた。 「いい?ゆっくりはこの世でもっとも崇高で素晴らしい生き物なんだよ!! 他の生き物はゆっくりに仕える事が最高の幸せなんだよ!! おちびちゃんたちも他の生き物達にゆっくりつかえさせてあげてね!!」 だが現実はどうだ、ゆっくりに使えるべき他の生き物はゆっくりをいじめたり、食べたり あろうことか殺ゆっくりという大罪まで犯している。 それどころか自分たちをペットとしている生き物もいる!! 間違っている、この世は間違っている!! この世にいるみんながゆっくりする義務を与えられたゆっくりのゆっくりを奪っている。 ゆっくりをゆっくりさせない生き物はゆっくりの一撃で皆殺しにしてやる。 そう思いドスは何度か殺ゆっくりやゆっくりの土地を無理やり奪う悪逆非道な人間を 根絶やしにしようとしたが、何度も返り討ちにあった。 失敗するその度に、ドスは仲間を見捨てて一人で逃げ、別の土地で新たな群れを作っていたのであった。 そして何度も敗北し、落ちのびていくうちに、ドスは考え始めた。 ゆっくりが間違っているんじゃない!!ゆっくりはこの世でもっとも崇高な生き物なんだよ!! それが何でこんな不条理な目にあっているの!! そうだよ、わかったよ!!世界が下劣にもゆっくりの邪魔をして、ゆっくりの地位を 乗っ取ろうとしているんだね!! そんなこと認めないよ!!ドスが世界をゆっくりの手に取り戻すよ!! ゆっくりがすべて平等に正当な権利を得られる本来の世界にもどすよ!! そう決意し、この廃墟となった人間の施設を見つけた。 それからはいつものようにゆっくりの群れを作ったが、今までと大きく違い狂気に満ちたものだった。 ドスの言う事に逆らうゆっくりは世界に身を売ったスパイとして処刑したり、 自分の言うことに順々になるようにゆっくりできないキノコも使って洗脳を始めた。 この群れの幹部のゆっくりはすべて自分の考えに従うように洗脳がなされており、 このれいむも例外ではなかった。 こうして、ドスとドスに従うゆっくりたちによって施設は完成したのであった。 ドスはれいむの報告をうけ、まだ先は長いよねと考えその日は寝ることにした。 だがドスが寝ているその間にも実にゆっくりとゆっくりの逆襲の下準備が着々と進んでいたのであった。 世界をゆっくりの手に取り戻すための力を研究し、それを元に ゆっくり力を手に入れ、手始めに人間を根絶やしにするというドスの願いを叶えるため、 今日も施設からは罠にかかったゆっくりの悲鳴がやむことはなかった。 あとがき 気づいたらやりたい放題になっていました・・・・好き勝手やった結果がこれだよ。 気が向いたらシリーズにしてみようかと考えています。 あ、後クレームの嵐だったら修正するなり削除するなりします。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3053.html
アップローダコメントより:原作キャラ注意 「ようこそお越し下さいました、当店はどなたでもウェルカムです」 男はやってきた女性に仮面を渡す 渡された女性もそれが当然のように仮面を付ける 「それでは、ご案内いたします」 ウェイターが現れ女性を奥へと案内していく 扉を開けたその先はカジノであった だが、ここは普通のカジノではない 女性はまずコインを購入する ここまでは普通のカジノと一緒である。 最初に向かったのはルーレットだった ディーラーがルーレット回転させるとそこに玉が投入される 「ゆ!ゆ!」 その玉はなんとゆっくりだった そう、ここはゆっくりカジノ 店内全てのギャンブルがゆっくりを使用したものとなっている特別製 先ほどのようにゆっくりを玉にしたゆっくりルーレットから自分のゆっくりを持ち込み可能なものまでそれこそ様々なものがある また、この店はプライバシー保護のためお客さん全てに仮面を付けることを義務づけている これは世間体の問題でもある この様な場所に公に来られないものなどのために設けられたシステムだ また、ゆっくりを連れてくる場合必ず防音用のケージに入れ、このカジノ場所が分からないようにするという決まりがある 入口は人間の里に6箇所ほどあり、そこから地下通路を通ってこの地下ゆっくりカジノへとやってくる仕組みだ 奇しくもこのカジノは上白沢慧音の寺子屋の丁度真下にあたる 彼女はこの様な行為は反対するため、秘匿義務も発生する ギャンブルは楽しく行わないといけない 先ほどゆっくりルーレットではルーレットの回転が止まり玉であるゆっくりれいむが赤の23番のポケットに入る それを見たコインを賭けていたもの達から歓声と落胆の声があがる 早く倍率分のコインを得ようとしたとき 「れーみゅはこっちのあなさんのほうぎゃゆっきゅりできるよ!」 ゆっくりれいむが隣のポケットへと移動してしまった そこは白の3番で、丁度勝ち負けが逆転することとなった これがゆっくりルーレットの醍醐味である 玉として使用されるゆっくりが気分次第でポケットを移動する また、時折回転に酔ってしまいエレエレしてしまうゆっくりが出るとそのポケットにはもう入らない ちなみに、ディーラー総取りのポケットは特別ゆっくりがゆっくりできるようになっている 「ちょっと、なんで移動するのよ!ふざけてんの!ばかなの?死ぬの?!」 「おいよせよ…ここじゃあこういうルールなんだぜ」 紅白の衣装を身に纏い仮面を付けた女性がゆっくりの移動に思わず罵声を浴びせる そしてそれを隣の白黒の衣装に仮面の女性がなだめる 彼女たちは時折訪れており勝ちと負けが7:3という好成績を誇っている その後紅白の女性は黒白の女性と別のゲームへ参加しに行った 続いてはゆっくり丁半をご紹介しよう 丁半博打と言えば二つの賽子を使い目の合計が偶数か奇数かを当てるゲームだ ゆっくりでそんなことはできるのか?という疑問もあったがそれを革新的な方法で解決した このコーナーにも客が集まっており、それぞれ偶数か奇数かと選んでいる その真ん中には二つに仕切られたゆっくりのケージがあり丁度客はそれを囲っている形となる 中ではゆっくりまりさがとてもゆっくりしている。ちなみにマジックミラーのため中から外は見えない そして選考時間が終了するとケージの中にそれぞれれいぱーありすが投入される 「「ゆげええ!ありずぅぅぅぅ!!!」」 仕切られた壁の奥からも同じ声がこだまする 二匹のゆっくりまりさのケージにありすが入れられる 「「むほおおお!!まりざあああああ!!!」」 同じく声をハモらせながらありすは凄まじい速度でまりさに肉薄し押し掛かる 「やめてね!まりさはすっきりしたくないよ!!」 「まりさったらツンデレねええ!!ツンデレもずきよぉっぉぉお!!!」 「い”や”だ”あ”あ”あ”!!!!」 「「む”ほ”お”お”お”お”!!す”っ”き”り”ー”!」」 ありすが精子餡を注ぎ込み終わるとまりさの頭に茎が生え子供が出来る 一匹目のまりさから出来た子どもは4匹 そして二匹目は…なんと7匹で合計11匹の奇数! 電光掲示板で結果を伝えられコインが配当される なお、この赤ゆっくりは回収され選考されたのちカジノで使用される れいぱーありすもこのゲームのために回収される そしてまりさも苗床扱いで回収する この親まりさの教育次第でどのゲームに使用されるかが変わってくるのだ また別のコーナーではゆっくり同士による戦いが行われていた 現在はれみりゃVSゆっくりみょんで倍率が×2と×40である 開始当初れみりゃ優勢かと思われていたが、みょんが素早い動きで翻弄し愛用の加工された木の棒でれみりゃの目を抉ったのだ 「れみりゃのぎでいなおべべがあああ!!!」 悲鳴を上げるれみりゃに観客達は盛り上がる 「ああ、れみりゃ様があああ!」 と、別の声をあげる者も 「みょん!」 トドメとばかりにみょんは喉に棒を突き立てる それで勝負あり れみりゃはもはや何もできなくなりただ「ざぐやぁ〜!ざぐやぁ〜!」と泣き叫ぶだけになった 女性はそれを悲しげに見つめ連れ添いのチャイナドレスの綺麗な女性に慰められている 「まあまあ、あれはウチのれみりゃじゃないんですから」 「それはそうだけど…」 女性はれみりゃ愛好家なため負けたれみりゃを気にしていたのだ しかし、それも次に巻き起こる歓声にかき消されてしまう 「お待たせいたしましたぁぁ!本日のメインイベントォォォ!」 闘技場で司会をしている男性がマイクを使い盛り上げる この闘技場は広いのだ 「漆黒の流星ゆっくりまりさVS白銀の弾丸ゆっくりれいむの試合を行います!」 「「「わああああああああああああああ!!!!!!」」」 まるで厨二のような二つ名を付けられたゆっくりがリングに凄まじい熱狂ぶりを見せる この二つ名にはワケがある。ただカッコイイとかでは断じてない この場は一応非公式なため、誰が育てか、と言うのを公にはできない そのためゆっくりを区別する必要がある場合にはこの様に二つ名を使って区別する また、二つ名持ちとそうでないゆっくりを一緒に戦わせるという試合もある その場合どちらも普通にまりさやれいむとしか紹介されない いざ始まれば試合前人気とは打って変わってのバトルロイヤルが開催されるため人気ゲームの一つである そして今は二つ名持ちによる一匹VS一匹の勝負である まりさを育てた鬼意燦とれいむを育てた鬼意燦がそれぞれゆっくりにアドバイスを送る 「れいむ、相手の動きに惑わされるなよ!」 「とにかく序盤は相手の攻撃をよけるんだまりさ!」 そして試合開始のゴングがなる 漆黒の流星の二つ名を持つまりさは流星の名にふさわしい機敏が動きを見せる 野生のゆっくりちぇんを凌ぐスピードでれいむの周りを縦横無尽に駈け巡る 対するれいむはじっと待ちかまえる れいむにはまりさほどのスピードが無いため追うだけ無駄だと理解している そしてまりさが正面に来た瞬間、ありったけのパワーを脚にかけての体当たり これが弾丸の異名の由来だ まりさの体にれいむの体当たりが掠る それだけでまりさは体制を崩してしまった 「今だれいむ!一気にたたみ込め!」 「まりさ、離脱しろ!」 二人の鬼意燦が指示を飛ばす 動いたのはれいむの方が速かった ジャンプすると全体重をかけまりさに落下する まりさはボディプレスを受けて何度も顔をリングに打ち付けられる そうして幾度目かのボディプレスを受けるかと思われたとき 「ゆ?」 れいむがジャンプした瞬間まりさはゴロンと横に転がりそれを回避した 今度はれいむがリングに打ち付けられる 「まりさ、今がチャンスだ!」 鬼意燦の声を聞きまりさは連続攻撃を仕掛ける 攻撃しては間合いの外まで行きまた攻撃するヒットアンドアウェイ これぞ必殺チャージアンドアサルトだ 「…ゆぎゅぅん」 こうして最初は優勢だったれいむが倒れた 「勝者、漆黒の流星、ゆっくりまりさぁぁぁ!!!!」 レフェリーが勝利を告げるとまりさは鬼意燦の元へと戻っていく このゆっくりは鬼意燦の持ち込んだゆっくりである まりさの用に試合に出るようになるためにいくつかの審査を通らなければならない そのため出場するゆっくりは皆優秀なゆっくりだ また、れいむも鬼意燦に回収され治療を受けている この鬼意燦はまだ善良だが負けたゆっくりをその場で殺してしまう鬼意燦も存在する 敗者に未来を選ぶ権利はない このゲームは特に男性の支持を得ている その逆に女性の指示を得ているのがすぃーを使ったゲーム このゲームではすぃーにゆっくりを乗せてレースを行わせる そしてその着順を当てることで倍率分のコインをもらう仕組みだ 余談ではあるがこのレースに出場するゆっくりはまりさ種が多い それはまりさ種の悪知恵でレースを盛り上げるためである 「ゆっへっへっ!まりさがいちばんだぜ!」 丁度レースが始まろうとしていたが3番のすぃーに乗ったまりさがフライングスタートをしてしまった これもこのすぃーレースの魅力の一つだ しかし、腐ってもこれはルール上でのギャンブル。 ゆっくりと言えども反則行為は許されない 独走状態の3番まりさだったが突如下から何かに突き上げられてすぃーから落ちてしまう 「ゆぐぐ…いたいんだぜ…」 コースには様々な仕掛けが施されており、先ほどフライングしたゆっくりを制裁する仕掛けが作動したのだ それを見てスタートの合図が出される 3番以外のまりさが一斉にすぃーを走らせる 「ゆっくりとまるんだぜ!まりさをひいちゃだめなんだぜええええ!!」 3番まりさはコース上に取り残されたままだ 他のまりさ達はそれぞれ罵声を浴びせてまりさを轢いていく 「ふらいんぐするやつゆっくりしんでね!」 「おぉ、ぶざまぶざま」 「ずるしたらこうなることもわからないの?ばかなの?しぬの?」 「ゆぎゃあああ!!いだいいい”い”い”い”!!!」 こうして3番まりさは他のゆっくりに轢かれてあえなく失格となった 先頭集団が第1コーナーを曲がるとそこには数本の柱がそびえ立っていた ちょうど連続ヘアピンコーナーをイメージしてられていてこの柱の間を曲がりながら避けなければいけない 「すぃーはきゅうにとまれないぃぃぃぃ!!」 5番のまりさはスピードの出し過ぎでそのまま柱に激突してしまった 後続集団はすぃーのスピードを落として連続ヘアピンを超えていく そうして高低差のあるコースを越えて6番まりさ、1番まりさ、そして5番まりさの順でゴールに入る なお、三連複までしか無いため4位以降のゆっくりはゴールできないしようとなっている 3着が確定するとゴール前に落とし穴ができるのだ 「やべでええ!!ばりざはおぢだぐないいいい!!!」 4着のまりさが穴へと落下していき他のまりさも次々と落下していく 「ゆっへん!とまればあなにおちないよ!」 最後に残ったまりさが穴の手前で止まりすぃーから降りる 穴を見下ろして落ちていったゆっくりを嘲笑する しかし、そんなことが許されるはずもなくこのディーラーがスイッチを押すとこのまりさは下から突き出てきた針によって串刺しにされた 「もっどゆっぎゅりぢだがっだよ…」 また、別室ではこのカジノの作った河童が天狗と将棋を行っていた これはカジノではなく来賓用の別室で行われているため人目には付かない 河童が金の役目を持ったゆっくりを動かす 天狗はそれを受けて桂馬の役割を持ったゆっくりを動かす 「みょん!」 天狗が今し方動かした桂馬はみょんである この将棋の駒は全て脚を焼いたゆっくりを使用しそれぞれコマとしての役を与えられている 今行われている対局ではれいむが歩、ちぇんが香車と飛車、みょんが桂馬と角、ありすが銀でぱちゅりーが金、そしてまりさが王将だ「まりささまをまもるんだぜ!」 王将まりさは将棋のルールを何となくだが理解していた それはとにかく他のコマが自分を守ればいい。そして、れいむは真っ直ぐに一歩ずつしか動けないこと 河童、河城にとりは歩れいむを一歩前進させる 「のろまなれいむなんてこわくないんだ!さっさとちぇんかみょんにやられるんだぜ!」 この将棋には二通りの楽しみ方がある 一つは純粋に将棋を行うこと そしてもう一つがゆっくり達の反応を見ることである 先ほどからわめいてる王将まりさはゲスなため中々愉快な反応をしてくれている 天狗、犬走椛は金ぱちゅりーを動かして王将まりさから遠ざけていく それを見てにとりは角みょんや飛車ちぇんをすぐに椛の王将まりさの近くに動ける場所へと移動させる 「なにやってるんだぜ!まりさのまわりにはやくありすたちをもどすんだぜ!」 王将まりさは自分が取られると負けることを知っているために騒ぎ出す 「おねえさんまけたいの?ばかなの?」 この将棋では相手の駒を取っても自分で使用することはできない どちらかと言えばチェスよりのルールを採用している 何故かというと 「いやだあああ!れいむとられだくないよぉぉぉ!!」 「わかるよーれいむはちぇんにたべられるんだねー」 椛が飛車ちぇんを動かし歩れいむを取るとちぇんがれいむを食べていく 「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」 「でいぶばじあわぜじゃないいいい!!!」 このように食べられてしまうため駒であるゆっくりは必死に打ち手に勝つように叫ぶ 王将まりさは自分が盤上で一番安全だと思っているが実は一番危ない どちらが勝つにせよ王将は絶対に取られるので50%の確立で食べられてしまうのだから それに比べるとまだ他の駒は生き残れる可能性がある ちなみに虐待好きの打ち手はわざと全滅させる場合もある そうして王将まりさの周りに駒が無くなった 「まりさはおいしくないんだぜ!たべるならみょんをたべるんだぜ!」 だが、にとりは飛車ちぇんを動かして王手を掛ける 「ばやぐまりざをにがぜえええ!」 が、椛は歯牙にも掛けず歩れいむを逃がす 「いやあああああ!!」 王将まりさの叫びを無視しにとりは角みょんを動かした 「ばかなおねえさんだぜ!かてるちゃんすをのがしたんだぜ!おねえさんのちぇんはまりさがいただくんだぜ!」 「わからないよー!どうしてまりさをとらないのおおお!!」 しかし、椛が次に動かしたのは銀のありすだった 「とかいはなありすがいどうしてあげるわ!」 「やべろおおお!ばりざをたすげろおおお!!!」 こうやってこのようなゲスゆっくりの反応を楽しむのが今の二人のお気に入りだった そうして何度も何度も同じ事を続け、王将まりさの周りは前一マスを除いて全て埋め尽くされてしまった 王将まりさはがくがくと歯をならす ここに来て他のゆっくりも打ち手の趣向を理解したらしくニヤニヤとまりさを見つめている 「まりさがとられたらまけなんだぜ…おねえさんはまけたくないはずなんだぜ…」 そうして開いてる場所にのろまと罵った歩れいむが動かされた 「ゲスなまりさはゆっくり取られてね!」 「でいぶううう!!じねえええ!!!」 「むーしゃむーしゃしあわせ〜♪」 「やべどおおお!!いやだああ!ゆっぐりじだいいいい!!!」 結局王将まりさは最後に歩れいむに食べられて対局終了となった 「なかなか面白いッスねこれ」 「うーん、でも正直喧しいのよねぇ」 椛は楽しそうだがにとりは思案する 職人として納得がいかないようだ 「けど、売上は上々って聞いてるッスよ?」 この将棋は一部の虐待派に人気の商品だ 駒のバリエーションもゆっくりの数だけあるので反応がそれぞれ楽しめるとのこと 「次は麻雀にでもしようかなぁ」 にとりはゆっくりをつまみ上げてあんよを眺める ここに牌の模様を入れればゆっくり麻雀ができるだろう 「それじゃ次は普通に将棋をやるッスよ」 椛は別の駒を用意して対局を促す 今度も駒はゆっくりだが将棋のルールを教え込まれた利口なゆっくりを採用した駒だ 先ほどと違って反応を楽しむためではないので駒をちゃんと取って使う こちらはゆっくり達がそれぞれ自分がどう動けるか、今動けば誰が取れるか、と言うのを教えてくれるものだ 「考えても仕方ないね」 にとりはお茶請けとして先ほど駒として使ったゆっくりをつまむと再び将棋盤へと向かう 「なんでありずがだべらでどぅのおおお!!!」 ここ寺子屋ではちょうど慧音と妹紅が昼食を取っていた 「妹紅、最近何やら騒がしくないか?下から何か聞こえるような気がするのだが…」 「気のせいじゃないの?最近は神社に間欠泉ができるくらいなんだしさ」 慧音は納得しなかったが箸を進める よもや寺子屋の真下に巨大なカジノが作られていて妹紅がそこに出入りしてるとは思いもしないだろう
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1990.html
「むーちゃ、むーちゃ、ちあわせー!・・・」 赤ちゃんゆっくり、通称赤ゆっくりの声が畑一面に響く。 見渡せば同じように食事をしているゆっくりは3匹4匹では済まない。 その中に二周りほど大きなゆっくりが二匹いた。この畑にいるゆっくり達の両親だ。 片方がれいむ、もう一方がまりさという典型的なその夫婦も子供達同様に畑の中で食事をしてしあわせ、しあわせと連呼している。 しかし彼らが食べているの畑の主役である野菜ではない。その成長の邪魔をする細かな雑草をぷちぷちと食しているのだ。 「むーちゃ、むーちゃ・・・ちあわ・・」 幸せを連呼するゆっくりの数が時間の経過とともに減っていく。その順番は年の若い順のゆっくりからだという事は 減っていく口調から容易に判断することができた。 「みんなどうしたの・・・?おいしい草さんを食べれてるんだからゆっくりしあわせ~って言おうね?」 「ゆゅう・・・もうやじゃぁ!!」 心なしか焦りながら子供達に話しかけた親れいむの言葉にさからい、一匹の赤れいむが顔を上げて泣きはじめた。 「こんにゃのおいちくないよ!れいみゅあしょこのやしゃいさんが食べちゃい!」 「だ、だめだよおちびちゃん!そんなことがお兄さんに聞こえたら・・・」 親れいむの視線が赤れいむの頭頂へとゆっくり動く。 そこには一本の透明な線が毛のように赤れいむから生えていた。 よく見れば他のゆっくり達からも不自然にその線は生えており、スーッと伸びたその先は畑の脇に座っている人間の手に握られている。 「おちびちゃん、お願いだからせめて静かにしてね!今お父さんがおいしそうな草さんを探してあげるからね!」 「ゆぅぅ!だからくささんは嫌なの!たべちゃくないの!」 父親役であるまりさも赤れいむの我がままの制止に加わるが泣き止む様子はない。 「ゆぅぅぅぅ!!!おやちゃいがたべたいよぉぉぉ!!!」 「静かに!静かにしておちびちゃん!ね!お・・・」 その時、親れいむの体に淡い闇がかぶさった。 向かい合っている相方の顔が恐怖に引きつっているのを見てれいむの頬を冷や汗が伝う。 恐る恐る静かに後を振り向くれいむ。そこには先程まで座ってゆっくりしていた人間がずんと立っていた。 「野菜が食べたいって?」 「ち、違うんですお兄さん!この子はちょっと疲れてへんなことを言ってるだけなんです!」 「別に草さんがまずいなんて思ってないです!いつもたべれてむしゃむしゃしあわせ~♪」 ニコニコと笑いながらどれだけ自分達が毎日の暮らしに充実しているかを少ない語彙で力説する二匹の親ゆっくり。 だがそんなこともおかまい無しに赤れいむは我がままを止めない。 「おにゃかちゅいた!おにゃかちゅいた!おにゃかちゅいたぁ~!」 「だからそれなら草さんたちを食べればいいでしょおちびちゃん!いいかげんおかーさん怒るよ!」 焦りが限界を超え始めた親れいむはとうとう赤れいむをしかりだした。 だがそこはまだ子供、そう簡単に親の言うことを聞くなら苦労はしない。 「いやぁ!おやしゃい~!!!」 「まあまあ待て。そんなに無理して食べさせることもないだろう?」 「ゆっ・・・!?」 意外な人間の言葉、そもそもここの畑の雑草を食べる様に命じたのは彼だ。 今更食べなくていい等と都合のいいことを彼が言うことはないことを親ゆっくり達は知っていた。 「ゆっ!おにーちゃん、もうれいむ草さんをたべにゃくていいの!?」 対して無知な赤れいむは喜々とした表情で人間を見つめる。まるで野菜を食べていいと言われたかのようだ。 「ああ、いいよ。」 「ゆゆーん!ありがちょぉおにーしゃん!」 「だってまだ一匹減っても八匹もいるしね」 そう言うと人間はゆっくり達から伸びているその透明な線の束から一本だけを選び始めた。 「・・・ま、まっでええええ!!おにーさんまっでええええええ!!!」 「やめてくだざいいいい!!まだ赤ちゃんなんですぅぅぅ!!!」 その途端、親ゆっくり達は泣き叫びながら人間にすり寄り始めた。 当の人間は素知らぬ顔で線を選ぶことを止めない。 「おおこれだ。さておちびちゃん本当に草さんを食べたくないんだね?」 「ゆゅ!あんにゃゆっくりできないたべものは嫌いだよ!」 「そうかそうか・・・」 「嘘!うそでずおにぃざん!!このこは草さんだいすきですからぁ!!!むしゃむしゃしあわせですがらぁ!!」 「しょんなことにゃいよおかーしゃん!あんなまじゅくてちあわせじゃないたべものなんてれいみゅはもう食べないよ!」 「どうじでそんなごどいうのぉぉぉ!!!」 親ゆっくり達は赤れいむの発言を撤回しようと必死だが赤れいむは頑に雑草はもう食べないと言い張っている。 すると人間はそのゆっくり達の会話に飽きたのか、選んだその線を持つ手に力を加えて思いっきり引っ張った。 「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」」 親ゆっくりの叫びが同調し畑の隅遠くまで満遍なく響き渡る。 そのコンマ数秒後、叫び声とは違う乾いた音が響く。 「おちびちゃんがあああああああああああ!!!」 「ゆゅゅ!びっくりさせないでよおかーしゃん!」 「あ゛あ゛あ゛・・・ゆっ?おちびちゃん?」 「どうちたのおかーしゃん達!れいみゅびっくりしたよ!ぷんぷん!」 親れいむの足下には突然の叫び声に驚いた赤れいむが頬をぱんぱんに膨らませている。 親ゆっくり達も驚いている。 なぜなら今死んだはずの自分の子供が五体満足でその場にいたのだから。 だが親ゆっくり達は確かに聞いていた。あの忌々しいボンッという聞き慣れてしまった爆発音を。 「ん!?間違ったかな・・・」 「おねえちゃあああああああん!!!」 自分の子供の悲鳴を聞いた親ゆっくり達はゆっくりらしかぬ動きでバッとその方向へ振り向いた。 先程まで雑草をむさぼっていた子まりさがいたその場所には 子まりさの帽子に泣きつく赤まりさと 濃い茶色で塗りつぶされた地面しか存在しなかった。 「まりざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「おちびちゃんがあああああああああ!!!」 再び泣き叫び始める親ゆっくりの異常な様子に近くにいた赤れいむも流石に身の危険を感じ始めた。 「すまんなぁおちびちゃん。お前を爆発させるつもりがどうやら姉ちゃんを爆発させちまったらしい。」 「ゆ・・ゆ・・・?ばくはちゅ・・・?」 「そうだ、おっきな音がしたろ。あれはお前の姉ちゃんが体の中からふっとんで死んじまった音だ。」 「し、死んだ?おねえちゃんが・・・?」 「ああ、そうだ・・・すまんなお前を爆発させる線はこれだ。次は間違えないからな。安心しろ。」 そう言ってにこやかに微笑む人間の顔にはまるで罪悪感は見えない。 ようやく雑草を食べないことが身の危険へとつながることを理解した赤れいむは目に涙をためて 体をゆっくりと左右に振り始めた。 「いやじゃぁ・・・いやじゃぁ・・・ちにたくないぃ・・・」 「だいじょうぶ、もう草さんなんて食べなくていいんだからな。なぁに、お前が減ってもまだ七匹もいる。 俺の畑のことは心配するな。」 「いやじゃぁぁぁ!!!ちにたくないぃぃぃ!!!ゆっくりちたいよぉぉぉぉぉ!!!」 淡々と死の宣告をする人間との会話に我慢ができなくなった赤れいむは気が触れたかの様に猛烈な勢いで頭を揺らした。 「仕方ないだろ、おまえが草さんを食べたくないっていうんだから。」 「ゆぁぁぁ!!たべる!たべるから!ゆっくり!ゆっくりくささんをちゃべるよ!」 言うや否や赤れいむは周りの数少ない雑草に顔面をあてて食らいつき始めた。 その勢いは草よりもむしろ土を食してる割合の方が多い。 「・・むぐっ!むぐむぐむぐ!・・・はふっはふっ!」 「うーんやっぱりいいよ。」 「むぐっ!?」 一瞬、もう許してくれるのかと思い赤れいむは人間の方へと顔を上げようとした。 「そんなおいしくなさそうに食べるなんて可哀想だからね・・・しあわせじゃないおちびちゃんの姿は見ていられない。 さよならおちびちゃん。」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!むーしゃ!!!むーしゃ!!!ちあわちぇー!!!ちあわちぇー!!おいちー!!! ゆっきゅりできるよ!!!!しゅっごいゆっきゅりできるよ!!!!むちゃむちゃむちゃむちゃ!!!!ちあわちぇー!!!!」 最早赤れいむに雑草や野菜や土の区別等ついていない。 ただ目の前にある物をかぶりつきしあわせと連呼しているだけである。 「うっみぇ!!!!しゅっげうっみぇ!!!ぱにゃい!!!みゃじぱにゃい!!!!ちあわちぇちあわちぇ!!!」 「おーよかった!いやーここの草さんも俺の畑からできてるものだからねー。まずいわけがないとは思っていたんだよ。 それだけおいしいって言ってくれるならまだ大丈夫だね!いやーよかった。」 「ちあ、ちあわちぇ!!!ちあわちあわちぇ!!おいちおいちーよー!!!」 遠ざかっていく人間の姿に安堵したのか、今まで食べる等考えもしなかったその茶色のじゃりじゃりに 赤れいむは尋常ではない吐き気を催した。 「・・んぶ!おがぁ!おあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!」 一生命体から肥料へと変わっていく赤れいむ。その勢いは止まることなく一分も立たずに赤れいむは意識を遠のかせていった。 「もっちょ・・ちあわせになりた・・・きゃったよぉ・・・」 その5分後、子まりさの屍を弔い終わり戻ってきた親ゆっくり達はまたしても声をからす程に泣き叫ぶことになった。 ―夕方 「おーし、もう上がっていいぞごくろうさーん。」 『・・・・・・・・・・』 「みんなゆっくりしてないのか・・・」 『おにーさん!!とってもゆっくりできたよ!!あしたもゆっくりしようね!!!』 「そうかそうか!それじゃあ小屋へ戻ろうな。」 『ゆっくりもどるよ!』 「逃げたらだめだぞー。森の木にその線が引っかかってお前たちの中の爆弾ピンが外れたらボンッってなるからなー」 『ゆっくりにげないよ!』 「ご飯は・・・いらないか。お腹いっぱいだもんな。」 『ゆ、ゆっくりお腹いっぱいだよ!』 「そうだよなーよし、今日はもう寝なさい。明日も頑張ってもらうからな。」 『・・・ゆっくり・・・がんばるよ・・・!』 一家はここの畑に来たのは単なる社会科見学の一環だった。 人間の恐ろしさ、その野菜をとることの罪深さ、それを教える為に出向いただけだった。 そんなことは安全な巣の中でやるべきだったことを親ゆっくり達は今も後悔している。 彼らが捕まって一週間、爆弾の除去という人間との約束が果たされるその日まであともう一週間であった。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1335.html
ゆっくり水攻め 水が出ない。 幻想卿の外から来たというポンプを買って一週間。 勝手に水を汲んで水を運んでくれる便利なものを買って、とても満足していたがまさかこれほど早く壊れるとは。 決して安い買い物ではなかったそれをどうにかできないかとポンプのある場所にやってきた。 ポンプ置き場に着くと奇妙なことにポンプのスイッチが入ってなかった。 妖怪には見えないようにお札を貼っていたし、押さないようにと注意書きもあった。子供はここまで遊びに来ないはず・・・ そんなことを考えながら他に壊れていそうなところはないかと確認していくと、機械の裏側ですやすやと寝息をたてているゆっくりを見つけた。 こいつがスイッチを押したのだろうか? 起こさないことにはこの疑問は晴れないのでゆっくりにデコピンをかます。 「ゆぐっ!」 まだ子供なのかとても軽く、デコピン一発で機械にぶつかり、「ぶべっ!」とずるずる落ちてきた。 回復する前に両手で捕まえ、ここで何しているのか聞く。 「ゆっくりあそんでたよ!」 ここでどうやって遊んでたんだい? 「ここでとぶとね、ぴかぴかするんだよ!」 とポンプの電源スイッチの上で飛び跳ねていた。ぴかぴかとは電源が入ったことを伝えるランプのことだ。 納得がいった自分は片手でゆっくりを抑えながらデコピンをする。 ここはおじさんのものなんだ。勝手に遊んじゃだめだよ。これは消えると困るんだ。わかったかな?かな? 一文ごとに一発デコピンをかます。食らうごとに痛い痛いと叫ぶ子ゆっくり。 耐え切れなくなったのか。 「ゆっくりはなしてね!これじゃゆっくりできないよ!」 「もうやだ!おうちかえる!」 と、泣き始めた。 とりあえずポンプが故障したわけでは無さそうだが動くか確認がしたい。 さっきこいつは巣があると言っていたのでそこで試そうと、巣を教えてくれれば助けてあげるよと聞いてみる。 野生のゆっくりは警戒心が強いが子ゆっくりなら大丈夫だろう。 すぐに、 「ゆ!ゆっくりおしえるからたすけてね!」 と、笑顔になって案内してくれるのを笑いながらゆっくりにおしえてもらい、巣を見つける。 その巣は木の根元にある穴で草や枯葉で巧妙に隠していたので教えて貰わないと分からなかったかもしれない。 畑や人の家に上がりこむゆっくりは大抵昔飼われていたり、加工場から逃げた奴である。 本当の野生のゆっくりは人にめったに近づかず、このように巣を作って過ごす。 「おしえたからゆっくりはなしてね!」 「いえでゆっくりするからどっかいってね!」 いまだ腕に掴まれたゆっくりが急かすので約束どおりはなしてやる。 れいむはぴょんぴょんと飛び跳ね巣に近づいていく。巣に近づくと先ほどの声に気づいたのか中からもう一匹のれいむが顔を出す。 「「ゆっくりしていってね!!」」 仲良く頬をすり合わせ中に入っていく。どうやら自分のことはもう忘れたらしい。野生で知能があるといっても所詮はゆっくりである。 ゆっくりどもが中に完全に入ったのを確認した後穴に近づき聞き耳を立てる。 「ゆっくりしすぎだよ!おかあさんしんぱいしたんだからね!」 「みんなしんぱいしたんだよ!」「おねーちゃんゆっくりしすぎー!」 「ゆっ!ゆっ!」 どうやら母れいむ一匹と子ゆっくりが3匹、赤ちゃんゆっくりが一匹と普通のゆっくりれいむ一家のようだ。 帰ってこない子ゆっくりを心配していたのか聞き耳を立てるまでもなかった。 子ゆっくりは包み隠さず正直に話した。 「ゆゆ!ゆっくりしすぎてないよ!にんげんにつかまってゆっくりできなかったんだよ!」 「に、にんげん!」 子ゆっくりの発言に母ゆっくりの態度が変わる。 「ゆっくりにげれたんだね!こわかったね!」 「もうあんしんだからね!すはみつからないよ!」 母ゆっくりはにんげんの怖さを知っているのだろう。巣にいれば気づかれず安全と子ゆっくりに言い聞かせる。 しかし、子ゆっくりが言った次の言葉に自分がいままで人間の怖さを教えてなかったのを悔やんだ。 「すをおしえたらたすけてくれるっていったからいったらたすけてもらったよ!こわかったー!」 「「ナ、ナンダッtt-!」」「ゆー!」 この声は子れいむと赤ちゃんゆっくりだろう、人間を見たことない子供達は未知のものに興味をもったらしい。 しかし、怖さを知っている母ゆっくりはさぞかし子供の発言に驚いたのだろう、 「どお゜じでぞん゜な゜ごどずる゜の゜ー!」 と、外に丸聞こえな叫び声を上げた。 「ゆぐっ!」 この声からするに子れいむを突き飛ばしたのだろう。ゆっくりのすすり泣く声が聞こえる。 と、巣から這い出てくる気配がするので巣目の前に移動する。 母ゆっくりが人間が来てないか確認しにきたのだろう。もぞもぞと巣の入り口のものが取り除かれていく。 自分はわくわくしながらゆっくりが顔を出すのを待った。 「ゆ、ゆ、ゆっくりー!!」 まさか巣の目の前に人間がいるとは思ってなかったらしく、驚き叫ぶ母ゆっくり。決して怖い顔だったからではない。 そこで捕まえてもよかったが、今回は見逃してやる。 「そこでゆっくりしててね!」 急いで巣の中に戻る母ゆっくり。ここにいるとゆっくり出来ないのではないかという疑問を抱きながらまた聞き耳を立てる。 「おかーさんどうしたの!」 「そとににんげんがいたの?」 「おがーさんごめ゜ん゙な゜ざい゜~!」 「ゆゆー!」 母ゆっくりの叫び声を子供達は怯えながら戻ってきた母を心配しているのだろう。殴られたゆっくりと赤ちゃんゆっくりはどう思ってるか知らないが。 「そとはあぶないからいっちゃだめだよ!」 「にんげんがいるんでしょ?みたいみたい!」 「だめだよ!にんげんはとってもこわいんだよ!たべられちゃうよ!」 「ゆゆゆゆ!たべられちゃうのい゜や゜だー!」 「おねーちゃんどうしておしえたの゛ー!」 「ご、ごめ゙ん゙な゙ざい゙ー!」 「ゆー!ゆー!」 「だいじょうぶだよ!ここはあんぜんだからね!しずかにしてたらどこかにいくよ!」 よく聞こえる声だ。もっと聞いていたかったがあまり時間をかけるのも面倒なのでゆっくりと遊ぶための準備をしていく。 まずゆっくり共の巣の入り口に土で壁を作る。これからすることから逃げれないようしっかりと固めておく。 準備が終わるとポンプの場所に向かう。ゆっくりは水が苦手にもかかわらず、飲み水のために水場の近くに巣を作るのでホースが届かなくなることはなかった。 そしてポンプの電源を入れる。後はホースのスイッチを押せば水がすぐに出るだろう。 ポンプ掃除用に置いてあった桶にも水を汲み持っていくことにする。 途中で逃げないように声を出してゆっくりが逃げないようにするのも忘れない。声をかけるたび 「こわいよー!」 「ゆっくりどっかいってね!」という子ゆっくりの声と 「だいじょうぶだからね!だからしずかにしてね!」 という声が聞こえた。母ゆっくりの声が少し聞き取り難かったが、それでもいることは確認できた。 必要な分の水を準備し終わり、最後の締めをしようと巣に近づくと、母ゆっくりの声が聞き取り難い理由が分かった。 穴を掘っているのだ。 どうやら別の出口を作りそこから逃げ出そうというのだろう。畑で捕まえたゆっくりはただ震えていただけだったし、子ゆっくりが馬鹿だったので油断していた。 もう少しくるのが遅かったら逃げられていただろう、冷や汗をかきながら少し計画を変更、すぐさま新しい出口になるだろうポイントを探す。 母ゆっくりの姿が見えないので難しいと思っていたが、少し藪を掻き分けたらすぐに見つかった。 ある場所に生えている植物が倒れかけている。どうやら植物の根を食べているのだろう。 しばらくすると「ゆっ!」という声とともに小さな穴が開いた。すぐに穴が広がってゆっくりが通れるほどになるだろう。 自分は急いでホースと桶ををその穴の近くに移動させる。 先ほどのポイントに戻るともう母ゆっくりは穴から出ていた。子ゆっくりたちを外に出せばもう安全だと思ってるのか顔が笑顔だ。 「ここからでればたすかるからね!でてゆっくりしようね!」 「あのにんげんがばかでたすかったね!」 「れいむをだますわるいやつだったね!」 「あのままいりぐちでゆっくりしてるといいよ!」 「ゆっゆっゆー!」 完全に人間から逃げおおせたと思っている。そんなに大きい声をあげたら気づかれるとは思わないのだろうか。 とにかく気づかれないのは好都合なのでそろりそろり母ゆっくりの後ろに水を張った桶を持って回り込む。 母ゆっくりは子供達が出れるように蔦を口に咥えて穴を覗き込んでいて自分が後ろにいることに気づかない。 蔦を口に含み穴を覗き込んだ母ゆっくりの後ろで水を汲んだ桶を持って立つと言う他人が見たら奇妙に思う格好で待っていると 「まずはあかちゃんからだよ!」 「おねーちゃんたちはあとからでるからね!」 「さきにゆっくりしててね!」 「ゆっ!」 姉妹愛かまず赤ちゃんゆっくりが出てくるらしい。母ゆっくりが蔦を引っ張ると少しずつ赤ちゃんゆっくりのかわいらしい顔が見えてくる。 久しぶりの日差しに目が慣れていないのか目をパチパチさせながら、 「「ゆ~♪」」 と母子が言ったのと、自分が桶の水を流し込んだのは同時だった。 「ゆ゙ー!!」 「あ゙あ゙あ゙あ゙ー!!!」 赤ちゃんゆっくりが桶から勢いよく流れた水に流され穴に戻されていく。 すぐ下で次に蔦が降りてくるのを待っていた子ゆっくりたちも赤ちゃんゆっくりとともに流れてきた水に驚き急いで穴を戻っていく。 「「「い゙や゛ー!み゙ずごわ゙い゙ー!!」」」 心地よい悲鳴を上げながら水から逃げ切ったのだろう息を切らした音が聞こえる。 赤ちゃんゆっくりは直撃を受け、皮をぶよんぶよんにして地面にへばりついている。まだ餡子が流れず、息があるのか、 「ゆ゜っ!・・・ゆ゙っ!・・・」 とピクピク震えていた。 もう少しどうなったのか確認しようとすると足に軽い衝撃。どうやら母ゆっくりが体当たりしてきたようだ 「どお゙じでごん゙な゙ごどずる゙の゙ー!!」 おお怒りゲージMAXなのか顔が紅白饅頭の赤い方みたいだ。うるさいので穴をのぞけるように調整して踏みつける。 「ゆぎゅっ!」とか言うが気にしない。餡子が出ない程度に踏みつける。 時間をくったので穴の中では水でふやけた赤ちゃんゆっくりを子ゆっくりたちがゆっくりと乾いた地面へ運んでいるところだった。 「ゆっくりげんきだしてね!」 「すぐにかわくからじっとしててね!」 「ゆっ・・・」 「それまでおねえちゃんがまもってあげるね!」 ポンプのスイッチを押す。 「や゙、や゙め゙でー!!」 「「「ゆ?」」」 子ゆっくりが母ゆっくりの叫び声に気づき振り向く。 そこにはポンプから流れ出る水がゆっくりと迫ってきてるではないか。 「「「い゙や゛ー!!!」」」 「ゆぐゅ!」 先ほどまでの姉妹愛はどこへやら、赤ちゃんゆっくりを放り出し逃げ出す子ゆっくりたち。 赤ちゃんゆっくりは這いずることも出来ず、流れてくる水をみながら、初めて言葉を話した。 「ゆっくりしたけっかがこれだよ!」 子ゆっくりたちは巣の入り口を目指す。後ろからは水が迫ってるから逃げるには入り口しかない。 人間がいるかも、と言う考えは今の子ゆっくりたちには考えられなかった。先ほどの赤ちゃんゆっくりの悲鳴で子ゆっくりたちはパニックになっていた。 「おねーちゃんがさきだよ!」 「おねーちゃんはゆっくりしてね!れいむがさきにいくよ!」 「げん゙がじな゙い゙で~!!」 我先にと争いながら逃げるゆっくり二匹とそれをなだめる一匹は何とか巣の入り口に着いた。ここからなら出られるだろう。 急いで入り口を隠していたものを取り除こうとすると気づく、これまで隠していた枯葉や枝ではなく土が壁となって入り口を塞いでいることに。 三匹は絶望に苛まれながらも母ゆっくりがしていたように少しずつ穴を掘っていく。 しかし、母ゆっくりのように上手くいかず、水が迫る恐怖心から三匹が別々に穴を掘っていた。 もし三匹が協力して穴を掘ってたら助かったかもしれない。しかし子ゆっくりたちはそのようなことを考える余裕はなかった。 「れいむがほったあなにつちをもってこないでね!」 「そっちこそこっちにつちをとばさないでね!」 「ゆっくりいそいでね!けんかしないでね!」 喧嘩を止めようと声を出しているゆっくりも体は自分用の穴を掘るのに必死だ。 死にたくない。死にたくない。死にたくない。 三匹にはそれしか考えられず、懸命に自分用の穴を掘り続けた。 しかし、もう水はそこまで来ている。もう間に合わないのではないか。 一番小さな子ゆっくりはこの状態に耐えられなくなった。 「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙だずげでー!」 叫びながら飛び跳ねる。掘った穴が崩れるが気にしない。 「い゙や゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」 どうやら一番小さい子ゆっくりのせいで真ん中のゆっくりが掘っていた穴も崩れたらしい。真ん中のゆっくりが悲鳴を上げる。 残ったのは一番大きい子ゆっくりが掘っていた穴だけ。 一番大きいゆっくりが後ろの悲鳴に振り向くと二匹が体当たりしてくるのは同時だった。 「「だずげでお゙ね゙え゙ーぢゃん゙!」」 「あ゙な゙がぼれ゙な゙い゙い゙い゙い゙!」 さっきまで喧嘩していたのに図々しく姉に頼ろうとするゆっくり。しかしそのせいで姉ゆっくりは穴が掘れず、最後の希望も潰えてしまった。 追いついた水に三匹仲良く流される。 「「「い゙や゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」」」 三匹の悲鳴はそれが最後だった。後は少しばかりぼこぼこと空気の音がしたが、それも終わると後は静寂が残った。 ふと、踏みつけていたゆっくりの反応がないので足元を見ると、先ほどの事実に耐えられなかったのか紅白饅頭のように白くなっていた。 持ちあげると口を開け白目をむいたままだったので軽く打つ。 しかしまったく反応がないのでとりあえず木に吊るしてその場を離れる。夜になればれみりゃにでも食べられているだろう。 埋めた入り口まで戻り、逃げてないことを確認し、この場を離れる。 ポンプの故障ではなかったことに安堵し、畑までポンプを戻す。 次からこのようなことがないように罠を仕掛けたほうがいいかなと思った。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3182.html
「ゆっくり、ふゆごもりするからお布団にはいってね!」 部屋には、成体まりさとれいむ 子まりさと子れいむが2匹づつ、それに赤れいむと赤まりさが3匹づついる。 暖房が一切効いていないプレハブ小屋に近いこの部屋は寒く、凍え死なないまでも ゆっくりにとっても耐え難いものなようだ。 このゆっくり一家にとって、夜はお兄さんのお布団に入ることが”冬篭り”なのである。 「お前ら布団で小便しやがったらゆっくりできなくしてやるからな!」 お兄さんにとってもこの季節はゆっくりが唯一の暖房器具 いわば共存共栄の関係が築かれている。 木の床にひいた簡素な布団に毛布と大き目の掛け布団が一枚。 親れいむは、まず赤ちゃんや子ゆっくりから布団に入れていく。 自分が入ってしまっては真っ暗なお布団の中、赤ちゃんたちが寒いお部屋に取り残されていないか わからなくなってしまうからだ。 「ゆっくちおふちょんにはいりゅよ!」 「しょろーり!しょろーり!」 赤れいむと赤まりさが男の脇の下へ潜り込む。 暖かい場所にひかれるのはゆっくりも同じなのだ。 後から入った赤れいむ赤まりさ4匹は固まってお腹の上あたりにいる。 それから子れいむと子まりさが2匹、親が入れるように気を利かせて男の足のほうへと、もぞもぞ入る。 「もーぞ、もーぞ!」 「おかーさんたちと離れて寝るのはさびしいけど、れいむたちはゆっくりしてるよ!」 成体れいむとまりさはさすがに大きいので男の体の隙間や上に乗って寝るわけにはいかない 枕の開いてる部分に寝そべって、足のほうだけ布団の中に入る。 その足にお腹の上で固まっていた赤れいむと赤まりさが寄ってきて「すーりすーり」とすり寄って寝るのだ。 これはぬくい。 部屋の中を暖めるストーブよりも、布団が直接暖かくなるというのは画期的な暖房だ。 「おい、子ゆっくりども、俺の右足が寒いぞ!」 そう言うと、1匹の赤まりさが布団の隙間をお帽子で塞いで外気が布団に入り込まないようにしてくれる。 「ゆっくりふさいだよ!」 さて部屋の電気を消すか。 紐を引っ張れば電灯は消え、部屋は豆電球の頼りない光にぼんやりとだけ照らされる。 布団の中のゆっくりにとっては真っ暗闇だろう。 zzz・・・ 「ゆえ〜ん!ゆえ〜ん!」 深夜に急に赤ゆっくりが泣き出した。 脇の下に入っていた赤れいむが、赤まりさに引っ張り出されて暖かい場所をとられてしまったのだ。 「まりしゃは、ゆっくちあっちゃかいところでねりゅよ・・・zzz」 「れいみゅのゆっくちぷれいちゅがゆえ〜ん!ゆえ〜ん!」 幸い布団の中で泣いているので、男はまだ騒音で目を覚まさない。 しかし、もしも安眠の邪魔をしようものなら男は怒り出してゆっくりさせなくしてしまうだろう。 そこで、いち早く異変に気づいた親れいむが赤れいむをなだめるために布団の奥へと潜り込んだ。 「おちびちゃん、ゆっくり泣き止んでね!お兄さんがうるさくて起きちゃうよ!」 「ゆえ〜ん、ゆっくゆっく」 成体ゆっくりの重量はそれなりにあるため、お兄さんは寝苦しそうだ。 胸の辺りに圧し掛かって、一生懸命脇の傍にいる赤れいむをなだめている。 「ゆっくりできるお歌を歌ってあげるから泣き止んでね! ゆっ♪ゆっ♪ゆっ〜♪」 赤れいむはそのお歌に機嫌を良くして一緒になって歌いだす。 「ゆ♪」 他の寝ていたお腹の上の赤れいむ2匹と足元の子れいむ2匹も目が覚めて、釣られて大合唱。 「「「「ゆっゆっゆっ〜♪ゆっくり〜♪していってよね〜♪」」」」 「うるせぇ!!」 男はあまりの騒音と胸の上の重量感で目を覚まし、親れいむの髪をひっ捕まえると 布団から引っ張り出して、壁めがけてぶん投げた。 ぶぎゅ! 口から餡子を少量吐き出しているが命に別状はない。 足元の子れいむも蹴って布団の外に追い出したが、見えなかったので熟睡していた子まりさが転がって壁にぶつかって潰れた。 「zzz・・・ゆぎっ!」 ようやく静かになる。 「ゆ・・・ゆゆ」 親れいむは布団に戻ろうとしたが、薄目を開けていた男が裏拳一閃で再び壁に激突し気を失った。 ボフッ 男が屁をこいた。 布団の中は異臭を放つメタンガスで充満されていく。 「ゆぎゃー!」 「くちゃいよ〜!」「ゆっくちできにゃい!」 「こうやって布団の温度をたもってるんだよ・・・むにゃむにゃ」 男はまったく悪びれず寝言で答える。 足元の子まりさは外の空気を吸って耐える。 「すーはーすーはー、ここはゆっくりできるよ!」 子れいむ2匹が 「まりさ、そこを代わって!」 「交代交代で息をすうんだよ!」 と言っているがまりさは「ゆっ!ここはまりさのゆっくりスポットだよ!」と言ってまったくどこうとしない。 男は少し意識があったので、布団を足元のほうへたぐりよせて そのまりさの外気を完全に遮断してやった。 ついでに、もう一発屁をこく。 大股に開いて音がしないように、なるべくまりさにヒットするように慎重に・・・ ぷすぅ〜ッ 空気が抜けるような音が男の尻からすると、足元の子まりさは息継ぎの空気口を完全に失い 「ゆぶべべべべ・・・!」と目を大きく見開いて暴れ狂う。 すーはーすーはーと呼吸をしていた、”すー”にタイミングがあって屁が直撃したのだ。 まりさは布団の外へと非難しようとしたが、多めに布団を足元にたぐりよせておいて しかも足で布団の端を丸めて押さえつけたから完全な密室がここに誕生した。 「だしてねぇー!まりさをお外にだしてねー!くしゃいー!」 ちなみに子れいむのほうは2匹とも泡を吹いて気絶している。 余計な事で意識が戻ってしまったため小腹がすいてしまった。 とりあえず、脇にはさまってる饅頭でも食べるか。 「すーや、すーや、ここはまりちゃのゆっくちぷれ・・・」 ひょい、パクッ 口から上を食べて残ったのは布団の中に捨てる。 普通は布団が汚れるからそんな事は出来ないが、このゆっくり餡に限っては ゆっくり同士が綺麗にあとかたもなく始末してくれるからだ。 甘い匂いが布団の中に広がって、半分になった赤まりさに他の赤ゆっくりが寝ぼけながら 「むーしゃ、むーしゃ」とパクつく 赤まりさを平らげると、赤れいむが他の赤れいむに噛み付かれて「ゆぎっ」と悲鳴を漏らしたが すぐに餡子の匂いをさせて全部食べられてしまった。 布団の中は地獄絵図だというのに、親まりさは相変わらずのんきに寝息を立てている。 「すーり、すーり、まりさそんなにたべれないよ・・・ぐへへ」 なんとなくジャイアンパンチを顔面にお見舞いしておいた。 顔面が陥没するあれだ。 むぎゅー! 「ゆゆゆ・・・ゆっ?ゆゆ?」 親まりさは何が起こったかわからず、目をぱちくりとしている。 男は寝たフリをしてスルー。 朝、赤ゆっくりが男の寝返りで全滅していて、子れいむと子まりさも1匹づつ死んでいたが 「冬越えとはこういうもんだ」 の男の一言で親ゆっくり達は納得した。 餡子の遺伝にも冬越えは大変なことだという情報が受け継がれているからだ。 言いながら朝食に、生き残っていた赤れいむを食べてるわけだが 飾りを髪ごと引き抜いてるからわからないらしい。 「やめちぇね!ゆっくちたちゅけてね!みゃみゃー・・もっとゆっくちしちゃ・・・」 「夜までに赤ゆっくりを作っておけよ!」 そういい残して、半透明のポリ製ケースに親ゆっくりと子ゆっくりを生ゴミを放り込んで蓋を閉じる。 過去の作品 ゆっくりいじめ系1222 ゆっくり繁殖させるよ! ゆっくりいじめ系1254 赤ちゃんを育てさせる ゆっくりいじめ系1261 水上まりさのゆでだこ風味 ゆっくりいじめ系1297 ゆっくり贅沢三昧・前編 ゆっくりいじめ系1466 ゆっくり贅沢三昧・後編 ゆっくりいじめ系1467 まりさの皮を被ったアリス ゆっくりいじめ系1468 肥料用まりさの一生 ゆっくりいじめ小ネタ222 ゆっくっきんぐ ドナーツ編 ゆっくりいじめ系1532 可愛そうな赤ちゃんにゆっくり恵んでね ゆっくりいじめ系1580 ゆっくりしなかった魔理沙と愛のないアリス ゆっくりいじめ系1673 ゆっくりクアリウム ゆっくりいじめ系1715 ゆっくりトイレ ゆっくりいじめ系1735 ゆっくりれいむと白いお部屋 ゆっくりいじめ系1743 プラチナまりさとフリーすっきり権 ゆっくりいじめ系1761 ちょっとしたイタズラ 作者:まりさ大好きあき
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4816.html
{※俺設定注意 「ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁァァ!!!!!」 これは聞いた話だが、出産の痛みは男にとってショック死してしまうほどのものらしい。 ならば仮に、その痛みを以って拷問をするとすればどのような形になるだろうか。 白い部屋。 家具も無く汚れも無くただ白い部屋・・・・・・そこにれいむの絶叫は響く。 れいむは捕まえられていた。それだけではない。 れいむは、子を産んでいた。 「やべっ、やべっで!!も゛う゛っ、も゛ううみ゛だぐな゛い゛い゛い゛い゛い゛ぃぃぃ!!!」 子を産むというのは神聖な行為だろう。 己の命を引き継ぎ、明日への希望を繋げる。愛しい半身。 だが、これはそのようなモノではない。 誰かの悪意によって捻じ曲げられたソレは、最早出産と呼べるようなモノではない。 これは―――そう、この『工程』は、むしろ『生産』と呼ぶに相応しかった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁっ!!!ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァッ!!!!!」 れいむの額には、当然のように茎が付いている。植物出産の形だ。 いや、ソレを『茎』と呼んでいいものなのだろうか? 人工物―――アルミを基本とした金属の曲がりくねった棒は、果たして『茎』と呼べるのだろうか? その『茎』の長さ、広さは・・・この部屋を覆って尚有り余る。 まるで果樹園。低木のように張り巡らされた金属の畑。 そこから生まれ出てくるのは・・・・・・もっとも、金属でもなんでもないが。 赤ゆっくりだ。 長い長い『茎』―――そのそこかしこから実っているのは、紛れも無い赤ゆ。 そう、『実っている』だ。現在進行形で、赤ゆは凄まじい勢いで実り続けている。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッ!!!じぬ゛、じんぢゃう゛う゛う゛う゛ぅぅッッッ!!!」 勿論、赤ゆを齎しているのは親ゆっくりであるれいむである。 れいむの脳天には太いチューブが挿し込まれており・・・そこから流れてくるものが、このれいむに苦痛を与え続けている。 精子餡。 毎秒100mlで流し込まれる精子餡に、れいむはその身体を削りながら我が子を作る。 それこそ、無限のように。雪崩のように。悪夢のように。 これほど多量の出産には、当然親ゆっくりは一秒として保つ筈がない。 ならば何故このれいむは未だに生きているのか? それはこの―――れいむの後頭部に刺さっている、オレンジジュースのパックが原因だ。 オレンジジュースは通常、ゆっくりにとって万能薬となる優れものだ。 今れいむに刺さっているものは更に多種の薬品を混ぜ合わせ、より効能を強くしている。 否、強くし過ぎている。これは薬ではない―――劇薬だ。 その効果の程は・・・死んだゆっくりを生き返らせ、後にその毒性によって再び死に追いやる。 およそゆっくりの事など欠片も考えていない獰猛な程の回復力。 しかし問題ない。れいむは今この時、この瞬間のために生きてきたと言っても過言ではないから。 「ア゛ァ゛ア゛ッ!!エ゛ア゛ッ!!ア゛ッ!エ゛ッ!ヒッ!!・・・」 ガクガクと身体を揺さぶり、白目を剥いて奇声を発しながらもれいむは止まることが出来ない。 大量の餡子を一瞬で吸い取られ、オレンジジュースによってまた一瞬で補充される。 既にれいむの意識があるのかどうかすら定かではない。記憶すら失ったのかもしれない。 瞬間的に体の中身を入れ替え続けられながらも、それでもれいむは激痛に絶叫する。 体が黒ずむ。とうとう出産の負荷が回復力を上回り始めたのだ。 それでも止まらない。否、止まれない。 オレンジジュースのパックの残り、あと1リットル。それまでれいむは、生きた屍になりつつも止まることを許されない。 「ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!」 奪われ、補充し、また奪われ、補充する・・・・・・。 れいむの子供たちは、そのなけなしの生命力を容赦なく貪ってこの世に現れ出でる。 一瞬一瞬が激痛。苦痛。不快感。名状すらできぬこの感情。 0から、10、50、100、500、1000、5000、そして・・・・・・。 まだまだ増える。『茎』にはもはや一部の隙も無く、びっちりと赤ゆが実り付いている。 6000、6500、7000、7500、8000、8500、9000、9100、9200、9300、9400、9500、9600、9700、9800、9900・・・・・・。 「ユ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッッッッッ!!!!!!」 断末魔。 生命が潰える、その最後の一瞬。正真正銘の断末魔。 それが部屋全体を、ビリビリと打ち震わせる。 餡子は・・・残らなかった。ただの一片も。 皮も黒ずみ、薄れ、ともすれば無くなっていたかも知れない。それほどの圧倒的な、『消費』。 れいむの心を圧倒的という形容すら生温いほどに蹂躙し、粉砕し、微塵に引き裂いた、その行為。 れいむは・・・おそらく自身が一番憧れて、羨んで、渇望したものを汚され、穢され、歪み尽くされて果てた。 残せたものなど何も無かった。祝福も、我が子への愛も、暖かな未来への想像も。怨嗟の言葉を吐くことすら、れいむには許されなかった。 たった一つ例外を許せば、れいむが残せたものは・・・一万匹の赤ゆっくりだけだった。 ゆっくり無双 「やだぁっ!!やべでぇっ!!まりざのっ、まりざのおぼうじいいいいぃぃっ!!」 一匹のまりさが、泣き喚き必死に身を捩って懇願する。 しかし、それが聞き届けられる事は無い。 まりさのおぼうし―――命と引き換えにしても惜しくない、そんな半身とすら言って良いものが・・・・・・燃えている。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!おぼうじっ!!まりざの・・・・・・おぼうじ・・・っ!!!」 メラメラ、パチパチと火の粉を出しながらあっけなく燃え上がるそれ。 たかが帽子一個、燃え尽きるのに時間は要らない。ほんの数十秒の出来事だ。 まりさはそれを、悲しみと悔恨と絶望と―――そしてほんの僅かの諦観を以って、眺めるしかない。 もはや炭と灰としか呼べなくなった物の前で、まりさは力無く泣く。 今まで、ずっと一緒だったのに。どうしてこんなことするの。 その涙は誰に、何に向けられたものなのだろうか。それを理解する者など、今此処には一人としていない。 「まりさの・・・おぼう・・・・・・!? なっ、なにぞれぇっ!!?やべでぇっ!!!」 まりさの悲嘆など、序の口であったのだ。 それを証明するかのように、拒否拒絶、さらなる絶望、嫌悪を剥き出しにしてまりさは叫ぶ。 持ってこられたものは・・・・・・形変わらぬ、まりさのおぼうし。 だが、形だけは取り繕っても、その本質をまりさは見抜いていた。 臭う。何かが臭う。近付きたくない。いやだ。やめて。それちかづけないで。 確かにこれは何の変哲も無いまりさ種の帽子だ。・・・・・・ただし、たっぷりと『死臭』が付いている、ということ以外は。 「やじゃああああああぁぁぁぁっ!!!まりじゃぞれいやじゃああああああああああっ!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」 先程とは比べ物にならないほどの形相で、身を捩るまりさ。 判断は付き難いがその口調からいって幼児退行を起こしている。 それほどまでに嫌なのだ。『死臭』の付いた飾りを、近づけられることが。 だがそんなまりさの都合などは知ったこっちゃないとばかりに、優しくまりさに帽子が被せられる。 何の拷問でもない、ただ帽子を乗せただけ。 たったそれだけの行為に、まりさは今まで最も大きい絶叫を迸らせた。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッッッ!!!!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッッ!!!!」 身を捩る。押さえつけられる。それでも身を捩る。できない。そうだろうと身を捩る。無理だ。 暴れるまりさが、眼前に針と糸――何をするかまりさは理解してしまった――を捉え、尚一層絶望の声を上げる。 ぶすり。頭に響く激痛。いや、それよりも苦痛なのは・・・その痛みが何を齎すかという事実。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!いやっ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 ちく、ちく、ちく。 縫われていく。縫い付けられていく。 忌まわしい、おぞましい『おぼうし』と・・・・・・まりさが、一体になってしまっていく。 抵抗は無意味だった。なにをしても無駄だった。 数秒と経たずに帽子のつばとまりさの頭部は熱烈な抱擁を交わす。糸という、物理的な拘束によって。 臭い立つ死臭が、まりさの魂、心、尊厳―――ありとあらゆるものを、貶め、絶望に塗りつぶしていく。 「あああ、ああっ・・・・・・いや・・・・・・いやぁ・・・・・・」 あっさりと、まりさの心は瓦解した。 何の抵抗も許さぬ、出来ぬ・・・・・・まりさの瞳は、奈落のように昏く、ヘドロのように澱んでいる。 精神は既に折れ尽き、今は死こそが救いであるかのような。 そんな饅頭と大差無くなったまりさに、誰かが耳打ちをする。 途端、まりさの目に光が戻る。この生き地獄に垂らされた、蜘蛛の糸に縋るような眼。 次の瞬間、まりさは見も知らぬ場所へと、投げ込まれていた。 「ゆべっ!!」 顔面から着地する。無論、ゆっくりにはそうやって傷つくような器官や骨などない。 故に、まりさが痛みに蹲ったのも十数秒の事で、あとは平然と起き上がっていた。 「ゆぅ・・・・・・?」 キョロキョロと部屋を見回す。 白い部屋だ。白くて、大きくて、あとは・・・・・・何にも無い。 ただの部屋。 まりさのこれまで・・・・・・経験、経歴等に特に意味は無い。語る必要も無い。 しかし、まりさはこんな部屋を見たことが無かった。 一度か二度は人間の家に侵入したことがあるのかもしれないが・・・・・・それでも、こんな奇妙な場所は、初めてお目にかかる。 生活感が無かった。埃も、汚れも、それどころか・・・臭いすらしなかった。 『部屋』ではないのだ。もっと別の目的で用意された、何か意味のある空間。 だがそれがまりさには分からない。ここは一体どんな場所なのかすら。 そういえば・・・・・・まりさは、思い出す。 頭上の忌まわしい帽子。それを縫い付けられ、絶望した先程の事を。 あの時・・・・・・あの時、まりさは、なんて言われた? "殺せ。全て殺せ。そうすればそれを取り外してやる。生かして帰してもやる" そうだ。そう言われたんだ。 言う通りにすれば。言うとおりにすれば、この忌まわしい帽子を外してもらえる。 だが、何を?何を殺せと?一体何の事を言っているのか? そう思いながら部屋を見回し・・・・・・部屋の隅に、何かを見つける。 白い空間を、そこだけ切り取ったか塗りつぶしたかのように色が付いている。 まりさはほんの一瞬だけ安堵し、そして、それに近寄ろうとして・・・・・・総身の毛が逆立った。 それは、赤ゆっくりだった。 轟いている。蠢いている。群がっている。一匹二匹では済まぬ、この大群。 うぞうぞと、お互いに絡みつき、押し合いながらも部屋の隅で群体を形成している。ひどく不気味で・・・・・・おぞましい。 まりさは知る由も無かったが、これを見る人が見れば「蛆が集っているようだ」と形容しただろう。 「「「「「「「「「「ゆ?」」」」」」」」」」 ソレが、一斉にこちらを見る。 無数の眼。まるで大きな生物が、その身体全身に眼を植え付けたかのような。 同時に、形が崩れる。不定形の群体から、部屋に広がるような波状へと。 まりさはその様子を、何も言えぬまま呆然と見つめているしかなかった。 頭のどこかで・・・・・・恐ろしいと感じる。 赤ゆが10匹程度なら、微笑ましく見られただろう。だがこの量は・・・・・・そんな微笑ましさからは、まるで別方向に突き進んでいる。 ・・・・・・気持ち悪かった。えもいわれぬ、忌まわしさすら感じられた。 「ゆっくち!」 「ゆっくちちようね!」 「ゅゅ~ん!」 「ゆっ!」 「ゅぅ~♪」 ざわざわと、蠢きながらそれぞれがそれぞれの言いたい事を言い始める。 静かだった筈の白い部屋は、途端に喧しさすら感じるようになった。 まりさは何も言えない。赤ゆの発する声が、群れに群れた蝿の羽音にすら聞こえる。腐肉の啜りあう音にすら聞こえる。 殺せとは・・・・・・まさか、この子達の事か? この子達、こいつ等・・・・・・いや、『これ等』を潰せば、まりさはこの帽子から逃れられるのか?生き残れるのか? 自問する。誰が答えてくれる訳でもない。 だが、多分、おそらく。間違いない。殺さなければ。殺せ!! 「ゆ?」 「ゆっく・・・ち?」 「ゅゅ?」 「ゆ・・・・・・?」 「ゅぅ~?」 そんなまりさの決意を知ってか知らずか、赤ゆ達は疑問の声を上げる。 いや、違う。疑問ではない。 これは・・・・・・嫌疑。忌まわしいものが発する『臭い』は、赤ゆといえどもその本能に刻まれている。 それが誰から発せられているか気付いたのだ。剣呑な目つきになっていく赤ゆ達。 「ゆっくちちね・・・」 ポツリ、と。 部屋の中の誰かが、そんな呟きを漏らした。つられる様に、ポツポツと呟き始めるものが、増える。 伝播する。広がっていく・・・殺意。 「ゆっぐぢぢね!」 「かじゃりどろぼうはゆっくちちね!」 「ころず!!」 「ゆ゛っぐりぃ!!!」 「じね!!」 噴き出す、無数よりの殺意。 それに中てられて、まりさもまた理性を放棄する。 帽子から離れたいという一心と、赤ゆとはいえ無数の敵意を浴びた恐怖心が、まりさの殺意を剥き出しにしていく。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ッッッ!!!ゆ゛っぐりじね゛え゛え゛ェ゛ェ゛ェ゛ッッッ!!!」 咆哮。絶叫。雄叫び。慟哭。 その何れかを放ちながら、まりさが駆ける。迎え撃つは、一万匹の赤ゆっくり達。 片や己が生き残るために。片や罪人を討つために。 一対一万の、凄絶なる死闘が始まった。 「ゆ゛り゛ゃあ゛ァッ!!」 離れて先行してきた莫迦ども目掛けて、飛び掛る。 成体ゆっくりの体重は、赤ゆでは相当数を揃えねば支えきれない。 そしてその相当数には届かなかったと見えて・・・水っぽい音を立てて、赤ゆ達は一瞬で踏み潰された。 「ゆ゛う゛ぅッ!!」 そのまま、赤ゆの群れまで突っ込む。 口と眼を閉じ、そのまま転がる。ぶちぶちぶち、と、何かが潰れる音。 目を開けてみればどうやら群れのど真ん中は外れたらしい。だが逸れたと言っても、ある程度の損害を出すことには成功した。 「「「「「ゆっぐぢぢねぇ!!」」」」」 そう喚きながら、赤ゆどもが小さな口を目一杯に広げて飛び掛ってくる。 すかさず迎撃。こちらも口を眼一杯に広げて、逆に赤ゆどもを捕食する。 「むーじゃ!!むーじゃ!!・・・・・・べっ!!!」 口の中から聞こえる断末魔も意に介さず、咀嚼を続ける。 甘い。口の中に広がる芳醇な味。殺せる。もっと殺せる。殺し続けられる。 何か固いものがあったので吐き出す。赤ゆどもの歯やリボンだった。 先程と同じく。跳躍、踏み潰し、転がりのコンボを行う。 第一撃で十数匹、その次で二十匹ほどが潰された。 しかしまだまだ底が尽きない。あちらは文字通り掃いて捨てるほど居る。 まりさの殺意はますます研ぎ澄まされる。 群れの形が変わる。 攻め一辺倒だった波の形から、まりさを取り囲むような輪の形へと。 全方向から向けられる殺気。まりさはいてもたってもいられずに飛び出した。 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 包囲の一部を、文字通り食い破る。 口の中では赤ゆがなにやら喚いていたが、それも一噛みしてやると黙った。 撹乱のために、赤ゆどもに向かって姉妹の亡骸を吹き出してやる。 「ゆぎゃあ!!いぢゃいい!!」 「ゆぴいいいいい!!」 どうやら何匹かに歯とかが当たったらしく、そいつ等は激痛に悶えていた。 餡子を引っかぶった奴等は・・・・・・みっともなく錯乱するか、一層怒りに狂ってこちらに突進してくるかのどちらか。 一直線に来てくれるなら有難い。転がって突っ込んできた莫迦どもを轢き殺す。 「じねっ!じねっ!じねっ!じねっ!じねっ!じねっ!じねっ!」 やたらめったらに飛び跳ねて、とにかく踏み殺していく。 潰された赤ゆ達によって、床は黒く染まり、壁にも飛び散った餡子がいくつか見受けられる。 しかし構わない。此処はそういう場所だったんだ。 まりさは理解した。此処は凄惨な殺し合いをする『闘技場』だということに。 「じねっ!!・・・・・・ゆっ!?」 何度目か分からない圧し掛かりの感触に、まりさは驚嘆する。 踏み潰せていない。まりさのあんよの下には、まだ赤ゆ達が生きている。 運が悪かった。偶然によって出来たこんもりとした赤ゆ達の塊・・・まりさはそこを着地点にしてしまったのだ。 「「「「「ゆっぐぢぢねぇっ!!!」」」」」 このチャンスを見逃すほど赤ゆ達も莫迦ではない。 蟻が得物に食いつくように、まりさの身体を覆っていく赤ゆ達。 まりさの足に直接触れていたものは、そのまま噛み付きに移行している。 「はっ・・・・・・はな゛れ゛ろ゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛!!!」 身を捩り、転がるまりさ。 しかし千載一遇のこのチャンス。例え押し潰されようとも、一匹たりとしてまりさから離れようとはしない。 噛み付き、食い千切ろうとする。成体ゆっくりの皮に比べて、赤ゆっくりの顎の力は些か弱い。 だが、それが何百、何千と集まればどうなるか・・・・・・。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛ぅぅぅ!!!じねっ!!」 まずまりさは再び跳躍した。 赤ゆが密集していない、必ず殺せる場所に着地。足から下の赤ゆ達は残らず潰れた。 そうして壁へと身体を叩きつけ次々に赤ゆを潰し、また身体を振り回し赤ゆを吹き飛ばす。 ・・・・・・だが、最後に残った赤ゆ。後頭部に見事噛り付いていた赤ゆが吹き飛ばされた時・・・・・・。 まりさは痛みを感じた。場所は、後頭部。つい先程まで忌々しい赤ゆの一匹が噛み付いていた場所だ。 この感覚・・・まりさは青褪める。恐らくだが、皮が千切られいる。 無論、傷は深くない。赤ゆに付けられる傷など、たかが知れている。 だが、まりさはこの傷を庇って後どれほどの赤ゆを潰せばいいのだろうか。 振り返る。まりさに傷を負わせた赤ゆっくりが、虫の息でそこに居た。 死にかけの分際で、何が嬉しいのか不敵な笑みを浮かべている。 まりさの頭に血が上る。逆上する。即座に積み潰した。 残る赤ゆは・・・・・・まだまだ、沢山沢山沢山沢山沢山沢山たくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさんたくさん。 潰された赤ゆなど歯牙にもかけないように・・・・・・それほどまでに大量の赤ゆ、赤ゆ、赤ゆ。 一瞬萎えかけた殺意が再び牙を剥く。 「ゆがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッッッッ!!!!」 再び咆哮。 こいつらを殺しつくせばこの帽子から解き放たれるんだ! 殺してやる!殺してやる! 生き残るという願いを殺意に変えて、殺意の波へと突進するまりさ。 さて、ようやく一分。たった百匹を、まりさは潰したに過ぎない。次の百匹まで辿りつけるのだろうか?その次は?その次の次は?――― まりさは健闘した。 百匹を殺し、二百匹を潰し殺し、三百匹を噛み殺し、四百匹を――――― だが、着実に傷は増えていく。傷を負えば、それを庇う。またその為に傷を負う。 そうやってまりさは・・・・・・・・・。 「やべろぉ!!じね!!ゆっぐりじねぇ!!じねええええぇぇ!!」 今、まりさは赤ゆの波に揉みくちゃにされていた。 傷を負い、体力が尽きても相手は尚動く。数の有利がここで効いていた。 もはやまりさに抵抗する余力は残されていない。目に付いた数匹を噛み殺すのが関の山だ。 「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」 「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」 「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」 「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」 「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」 「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」 「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」 「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」 「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」 「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」「ゆっくちちね!!!」 怒涛のように押し寄せる声。 傷口を押し広げて潜り込もうとしてくる者。 新たな傷口を作ろうとする者。 まりさの命は風前の灯だった。ピラニアが待つ水の中に投げ込まれるのを待つ水鳥のよう。 「じねっ!!じねぇっ!!まりざはっ、いぎのごるんだぁ!!だがらぁ、じねええぇっ!!」 しかしまりさは諦めない。 己の命が尽きるまで負けではないと、殺意を燃やし挑みかかる。 それは、あまりにも虚しい行為だが。 「い゛や゛だっ!!じにだぐない!!じに゛だぐな゛い゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛っっっ!!!」 弱弱しい、赤ゆの歯。そんな弱弱しい武器によって、まりさの命は尽きようとしていた。 今もまりさの体内には多数の赤ゆっくりが蠢いている。まりさの餡子を全て喰らい、その息の根を止めるため。 既に痛みも感じないのだろうか、まりさはただ叫ぶだけ。・・・・・・そもそも正気を保っているかもどうか怪しいものだが。 「ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!ユ゛ッ!」 とうとう大切な何かが壊れた。まりさは白目を剥き、痙攣するだけの物体と化す。 それでも赤ゆ達がその攻撃を緩める事は全く無い。 本能に刻み付けられたままに、ただまりさを破壊していく。 「ユ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッッッッッ!!!!!!」 断末魔。 生命が潰える、その最後の一瞬。正真正銘の断末魔。 それが部屋全体を、ビリビリと打ち震わせる。 そうしてようやく、赤ゆ達はまりさを解放した。 穿たれ、裂かれ穴だらけになった顔。貪られ、皮に付着する程度しか残っていない餡子。 もうこれは、まりさではない、まりさであった、何かだ。 赤ゆ達は、そんな元まりさを見ながら勝利の歓喜に酔う。 わるいゆっくりをやっつけた。かざりどろぼうはゆっくりできない。だからゆっくりしね。 多少の犠牲が出てしまったが、それは自分ではないし、まだまだ姉妹は大量にいるのだ。何も悲しいことなんて無い。 ゆっくりできるようになったらおなかがすいてきた。 そうだ、このゆかにおちてるあまあまさんをたべよう。 そんな考えの下、姉妹だったはずの餡子を嬉しそうに貪る赤ゆ達。 別にそれが悪いわけではない。赤ゆ達は無知なのだから。ただ、それが他人から見れば酷く醜悪に映るだけ。 赤ゆ達はこれが始めての食事だった。 所謂同族食い。しかも生まれて初めての食事がそれだったのだから、彼女たちの末路は想像に固くない。 赤ゆ達は同胞以外の味に満足せず、一匹になるまでお互いを貪りあうだろう。 だが、そんな事を今走る由も無い赤ゆっくり達。 そうとも。ゆっくりしたんだから、次はお昼寝の時間だ。まだまだ眠くない子は、ちょっとばかり遊ぼう。 眠りだす子、遊びだす子。何も知らないというのはここまで幸福なのだ。それが良い事かどうかは置いといて。 それに、あくまで未来の話―――仮定の話だ。『もし』なんてモノは、今となっては意味が無い。 赤ゆ達はどこまでも無知だった。 だから、天井から白っぽい煙が降り注いできたことも。 それに触れた途端、身体から激痛が発せられるという因果関係も。 裏返るように、捻じ切るように、搾り取られるように、引き千切られるように―――そんな風に姉妹が餡子を吐いている周囲の事も。 そしてそれを冷たく見守る機械の目の事も。 ―――赤ゆ達は、何も知らずに、何も分からずに、何も理解しようとはせずに。・・・・・・そして無駄に、死んでいった。 この世の中には、ゆっくりを虐めて悦びを得る人間が少なからず存在する。 例えば、透明な箱に押し込めたり、切ったり、叩いたり、焼いたり―――とにかく色々だ。 だがそれだけでは飽き足らず、もっと大規模な虐待を望むものも少なくない。 とはいっても、その大規模な虐待と言うのはいかんせん少々手がかかる。 例えば、千匹単位でゆっくりを集める場合などは、それだけで相当の金額を消費する。 野良ゆっくりを探すという方法もあるが、時間がかかるし、保健所とはいえ千匹も一々保管してはいない。 色々な意味でコストに見合わないのである。勿論、ゆっくりだけでなく虐待に使う道具、装置にも同じことが言える。 つまり、よっぽどの道楽者でなければ大規模な虐待は難しい。 この事実に一体何人の虐待人が涙を呑んだだろうか。中には虐待に金をかけるあまり、破産してしまった者も居るほどだ。 しかし人間とは過剰な空想力を持つものである。ぶっちゃけた話、「別にリアルでなくてもいいから大規模虐待したい」という輩が現れ始めたのだ。 そしてそんな要求に応えるかのごとく、とある一つの方法が考案された。 それが、殺人(スナッフ)ビデオならぬ・・・殺ゆ(スナッゆ)ビデオである。 例えば採掘場にゆっくりを集めて、それを爆弾でまとめて吹き飛ばしたり。 道路に大量のゆっくりを敷き詰めて、それをロードローラーで餡ペーストにしていったりなど・・・。 金のかかる虐待をカメラに収めて、お手ごろ価格で鑑賞できる。 「見るだけなんて虐待じゃない。これは邪道だ」との声もあるが、中々どうして、それなりの売り上げを誇っている。 今録画されているこの光景も、じきに編集され、売りに出されることだろう。 タイトルは『ゆっくり無双』シリーズ、『まりさVS赤れいむ一万匹』である。 片方は一匹、もう片方は少なくとも千匹からなるこの同士討ちは、シリーズ化される程度には好評のようである。 今回は、「過去最多」のキャッチセールスに漏れず、赤ゆを一万匹使用している。 過去に加工所が考案したゆっくりの生産法―現在は劇薬オレンジジュースの危険性が指摘され、廃止された―は、一匹から一万匹の赤ゆを生産可能だ。 そこに死んだゆっくりの帽子を被せ死臭を纏わせたまりさをぶつける。両者は争い、どちらか一方が生き残る。 どちらか一方が死んだ後に、ゆっくり用の神経ガスを散布。あとは勝者が苦しみ悶えて死ぬのを鑑賞できる、といった内容だ。 あのれいむは殺される為だけに我が子を一万匹も生んだのである。全く以ってご苦労様なことだ。 今まではれみりゃ、ふらんと言った捕食種に対し通常のゆっくりをぶつけていたが、今回は大人対赤ん坊を演出してみた。 あのまりさの表情。死に物狂いで赤ゆを潰して回ったあの狂気。死ぬ間際の絶叫。何も知らぬ赤ゆの最期。 思っても見なかったものが撮れたと、監督もご満悦のようである。 ゆっくりがこの世に現れてから○○年。 徐々に、徐々にだがゆっくりにも人間の社会で役に立てる場面が増えてきた。 農業、介護、実験体、愛玩動物、盲導犬の代わり等等。・・・・・・変わったところでは、雑誌の編集員などをやっているとか。 全てが全て、このような暗い仕事ばかりではない。ちゃんと人の愛に触れ、幸せになっていくゆっくりは大勢居る。 これは、ほんの一例なのだ。踏みにじられ、引きかされるのが彼ら「俳優ゆっくり」の役目。聞こえはいいが要は人柱である。 もっとも、まりさと赤れいむ達は自分達が見世物になっているという自覚は無かったが。 今この瞬間にも、何処かで誰かが、ゆっくりを惨たらしく殺しているだろう。 だがそれこそゆっくりの本懐。 どんな形であれ、相手にゆっくりしてもらうのがゆっくりなのだ。例え、それが鬱憤を晴らすための八つ当たりだとしても。 よってまりさ達の死は無駄ではなかった。 まりさ達の最期は、裏の流通に乗りながらも誰かの溜飲を下げる為に役立っている。 おわり ――――― 書き溜めです。 本当は希少種無双を書きたかったけど、不評そうなのでこんな形に変更。これなら文句は無い・・・と思う。 あと書いてる途中に社会進出したゆっくりが書きたくなった。図書館で司書の手伝いをしてるぱちぇとかアンティークショップで飼われてるありすとか 庭師のお爺さんと一緒に盆栽に精を出すみょんとか清掃員のお兄さんの手伝いをするおりんとか発電所に勤めるいくさん、おくうとか 町工場の一角で手伝いをするにとりとか裁判官のお姉さんのペットのえーきとか船乗りのお兄さんに付き添って世界の海を渡るこまちとか・・・・・・ 色々。でも愛でになるから自重する。 このSSに感想をつける}
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2517.html
社員ゆっくり ※現在の地球とは少しだけ軸がずれたパラレルワールドだと思ってください ※ゆる虐待は多少ありますが、愚鈍で高慢なゆっくりをボコボコにしたい方には合わないと思います。箸休めにどうぞ。 ※お兄さんと劇中の飼われゆっくりは仲が良いです ※作品中に登場する会社名等は実在のものとは一切関係がありません ゆっくりが出現して20年程、元々は野山に住んでいたゆっくりは徐々に人里に下りていき、街へも進出しだした。 当初はゴミを荒らし、住居に侵入したりとやりたい放題であったが、当然ながらそういったゆっくりは人間によって即処分される。 その結果、(ゆっくりにしては)頭がよく賢い、それでいて比較的気性の穏やかなゆっくりが残り、そして繁殖を繰り返した。 頭がが良く穏やかなゆっくりであれば当然人間に迷惑をかけることも少ない。となると殺されることも少なくなる。 街ゆっくりは今では人間の(それなりに)良きパートナーとして生き残っていた。 「ただいま」 男がそう言い玄関の戸を開けるとまりさが廊下をぴょんぴょん跳ねながらやってきた。 「ゆっくりおかえり!!」 このまりさはもう1年ほど前から男が飼っているゆっくりだ。野良犬に襲われていた横を通りがかっただけなのだが なぜか犬がそのまま逃げてしまいまりさは男のおかげだと泣きながら感謝し、それから懐いてしまったのだ。 どうやら飼いゆっくりだったらしいのだが、飼い主の事情で捨てられてしまったらしい。 変に媚びることもなく淡々と語るまりさを見て最初は「まぁいいか」くらいの気持ちでペットにしたのだが、 実際は一人暮らしの寂しさを紛らわせたかったのだ。 今となってはペットというよりは居候といった感じだが。 「ゆっ!おつかれさま!おみやげは?おみやげは?」 「あ?別に出張でもないし特に何もないぞ。つうかおまえ毎日それだな!」 「ゆぐっ・・・だってまいにちひまだし・・・おにいさんおかねくれないからあそびにもいけないし・・・」 そう言ってまりさは口をとんがらせてすねていた。 人間の社会に入り込んだゆっくりは貨幣の概念を理解している。ゆっくり用のグッズを販売する店や ゆっくり用のレジャー施設も存在し、ゆっくりだけで買い物に行っても極普通に対応してもらえるので お小遣いを与えられたラッキーなゆっくりでいつもごった返していた。 「働かざるもの食うべからずという言葉を知っているか。」 「ゆぅ・・・おにーさんからなんどもきかされたからしってるよ・・・」 「ならそういうことだ。三食屋根付きなだけでもありがたいと思うように。」 この社会にも野良ゆっくりは存在する。昔に比べて賢いゆっくりが増えた分人間もそれ相応の対策はとってある。 ゴミ捨て場などもカラスはもとよりゆっくりにも破られないようにいろいろ改良がなされている。 となるとそこらの雑草や花を食べるしかない。だが賢くなったゆっくりは人間の所有する整備された花や植物を 勝手に食べるとどうなるかは知っていた。よほど危機的な状況ならば分からないが、まずそういった愚挙は犯さない。 まりさはそういった行為をしでかした野良ゆっくりが目の前で潰されたり保健所に連れて行かれた場面を何度か見ている。 そんな生活はごめんだった。 中には人通りの多い場所で物乞いをするゆっくりもいたが、同情を誘うためか酷く汚れていたり、自ら片目を潰したり するゆっくりが大半だ。まりさにはとてもそんなことはできない。 家に置いてもらい食事まで頂戴していることはありがたいとは思っていたが、ゆっくりはゆっくりなりに欲もある。 雑誌を見たりテレビをつければゆっくり用おもちゃの広告やらなんやらでその欲求を無駄に刺激するのだった。 食事を済ませ風呂から上がりパンツ一丁の男はまりさと居間でテレビを見ながらゴロゴロしている。 おやつの笛ラムネを口にしたまりさはピープー音をたてていたので「うるさい」と言われ男に足で軽く蹴られた。 「ゆっくり王国」 まりさが一番好きな番組だ。色々なゆっくりやその生活を取り上げる番組だ。 オープニングタイトルが消えた後スタジオには中に人間が入っている巨大れいむとまりさのきぐるみがドスンドスンと 飛び跳ねている。 その中のコーナーの一つ「ゆっくりお宅拝見!」が始まった。 さまざまなゆっくりが人間の家で暮らしている様子を映し出している。 「この貧乏芸人の家で飼われてるれいむは悲惨だなぁ・・・おい見ろよなんだあの尋常じゃない色の布団のしみは」 「ゆぐ・・・あんなところでねたらかゆいかゆいだね」 「このゆっくり腹話術ってれいむの下から手つっこんでないか?」 「かんぜんにいっちゃってるね!このれいむはもうはいじんだよ!おおこわいこわい」 どうでもいいような話をしながらだらだらする一人と一匹。まりさは笛ラムネを歯で縦に割りバリバリと食べていた。 ボフッ 男が寝たまま放った屁をまともにくらい、「ゆぎゃあ!」と叫び後ろにのけぞるまりさ。 バシンバシンとまりさが尻に体当たりを始める。 「ブーブーはむこうむいてしてっていったでしょ!!!」 ゆっへっへとふざけて笑った男が再びまりさが体当たりしてきたタイミングでブッともう一発おみまいした。 「ゆぎゃぎゃぎゃ!!!」 ごろんごろんと転がるまりさ。 「へこきれみりゃはしね!」 鉢植えの土に敷いていた小石を口に含み男の尻めがけて吹き付ける。さすがに尻への体当たりは危険度が大きいことに気づいたようだ 「こらー散らばすなー、って、おいそんなことよりこのまりさすごいぞ。見ろ見ろ。」 テレビでは既に違うゆっくりが紹介されている。 大金持ちに飼われているゆっくりだった。 お城のような家で飼われているまりさがそこにいた。髪の毛の艶もすばらしく、肌の張りもステキだ。 まりさはテレビを見ながらボーっとして咥えていた小石をぽとりと落としてしまう。 「すごいゆっくりだね・・・まりさのようなしょみんとはべつじげんだよ・・・」 「庶民で悪かったな」 男は貧しいわけではない。むしろ普通より多く稼いでいた。ただ、贅沢を好まない性格なので飾り立てたり 無駄遣いをしないだけだった。単にケチというだけかもしれないが。 ただそれでもまりさ専用の部屋を用意するなどしているあたり余裕がある証でもあるのだが。 テレビの中のまりさは贅沢な装飾品を身に着けたり、高そうな食事を与えられたりしていた。 特注で作らせたゆっくり用天蓋付ベッドでくつろぐ金持ちまりさは優雅に「ゆふふふ」と笑っていた。 「おにーさん!まりさもあんなべっどほしい!!ほしい!!」 まりさは屁のことなどすっかり忘れて飛び跳ねて男に懇願している。 「おまえのベッドで充分だろが、いつも気持ちよさそうに寝てるだろ」 「ゆぐぐぐ!あのくっしょんはおにーさんがすわってぶーぶーするからくさいよ!あんなべっどのほうがいいよ!」 「だめだだめだ、そんなに欲しかったら自分で稼いだ金で買え」 「ゆぎぎぎぎ!」 歯軋りするまりさを無視して男は尻をかきつつテレビを見ている。 お宅拝見のコーナーが終わり次のコーナーへと移っていた。どこかの会社のオフィスらしい。 仕事をしている社員の後ろをゆっくりが歩いていた。 『こちらの会社では社員の癒しを目的としてゆっくりを導入しているそうです。このゆっくりれいむのお仕事は 社員を和ませること。そして簡単な雑務ならこなしちゃうんですよ~すごいですね~広報としてパンフレットにも 登場しちゃったりしています』 レポーターがそう言うと穏やかな顔つきのれいむが 「れいむのおしごとはみんなをゆっくりさせることです!ゆっくりしていってね!」 そう元気よく叫んだ。 場面が変わって休息室でコーヒーを飲んでいる社員がゆっくりの頭をなでている場面が映る。 また別のゆっくりはゆっくり用の台に乗ってコピーまで取っているではないか。 更に別のゆっくりに至っては受付に鎮座し来客に「いらっしゃいませ!」と挨拶をしている。 プレゼン資料を客の数だけまとめてホチキスで留めているゆっくりまでいた。 ひらがなくらいしか読めないゆっくりだが、同じ図柄の紙をそれぞれまとめる程度は出来るようだ。 そのゆっくりはなぜか眼鏡をかけていた。 『なんと!このゆっくり達はこの会社の社員なんです!みてくださいこの社員証を』 リボンについた社員証がアップになり、そこには「れいむ025」と書かれていた。 「このゆっくりは偉いなぁ~ちゃんと働いてるんだね~」 男は少し意地悪くそう呟く。 『しかもこの社員ゆっくりにはちゃんとお給料も出るそうなんです。すごいですね~』 男の意地悪い発言に苦虫を噛み潰したような表情をしていたまりさは「お給料」という単語に反応し、 これだっ!という顔をして叫ぶ。 「ゆゆゆゆゆ!!!!まりさもはたらく!はたらいておかねもちになる!!!」 「おまえが働く?馬鹿言うんじゃないよ。おまえ働くってどういう事かわかってるのか?あ~ん?」 足の先でまりさの頭をぐりぐりしながらからかう男。 「しつれいだね!まりさははたらきたいんだよ!おかねをかせいでおにーさんをたべさせてあげるんだから!」 「ウヒャヒャヒャ!いいねぇ~ゆっくりのヒモかぁ~やれるもんならやってみな~」 相変わらずまりさをからかい続ける男はニヤニヤと笑っていた。 ぷくーっと膨れたまりさはこう続ける。 「やってみなっていったね!?まりさほんきだよ!ほんきなんだからね!!」 男はたわごとだろうと高を括りニヤニヤしたままだった。 「あとおにーさん!ぱんつのすきまからたまたまがまるみえだよ!ぷぷっ!」 まりさの顔に真正面から蹴りが入った。 翌朝 騒がしい音がして男が目を覚ます。 「なんだこんな朝早くから・・・うるせぇな・・・」 眠い目を擦り音のする方を見るとまりさが大量の新聞紙やらちらしを広げて何やらやっている。 「・・・おまえ何やってんだ?」 「ゆっ!おはようおにーさん!まりさはおしごとのれんしゅうしてるんだよ!」 見ると顔の中央に男の足型がうっすらと残ったままのまりさが回収に出そうと部屋の隅に積んでいた新聞とチラシの山を解き、 社会面、スポーツ面、経済面、そして同じような色合いのチラシごとにそれぞれまとめていた。 「きのうのてれびであのこがやってたのとおなじことできたよ!すごいでしょ!」 まりさは腹(?)を突き出すようにしながらフガフガと鼻息を荒くしている。 「ほっほー・・・おまえなかなかやるなぁ。つうか本気で働きたいのか?」 「ゆっきーーー!!ほんきだっていったでしょ!」 体を膨らませ抗議の意を表すまりさ。朝からかなりテンションが上がっている。 「ふうむ・・・よしわかった。そこまで言うなら試してみるか。ただしやるからには本気でやれよ」 まりさの熱意に男が折れた。あっさりと男が働くことを許可したせいかまりさは一瞬ぽかんと口を開けたままで 男を見つめていたが、その意味を理解し次の瞬間パァァと顔が明るくなり、体を縦に伸ばしてクネクネとねじり始める。 「ゆっきゃあああ!!これでまりさもおかねもちだね!!」 どうやら喜びの意思表示らしい。 その様子は少しキモかった。 「さて、んでどこで働くつもりなんだ?」 「ゆっ、きのうてれびでやってたところがいいよ!」 「昨日の?どこだっけ・・・ああ、日本ミラクルか。確か最近青山に自社ビル建てたんだっけかな・・・青山なら通勤途中だし まぁいいか・・・どれどれ」 PCを起動しブラウザから会社のサイトを開き「採用情報」をクリックする。 新卒採用、中途採用、障がい者採用・・・・ゆっくり採用 思わず飲んでいたお茶をブッと噴出す。 わかっていて開いたページだが改めて「ゆっくり採用」などと書かれていると滑稽で仕方が無い。 「ゆっくり採用専用ページ」をクリックすると、微笑んだまりさとれいむが「ゆっくりはたらこうね!」という台詞と 共に表示された。 「ゆっーー!!!すごくゆっくりしてそうだよ!おにーさんはやくはやく!」 いつのまにか机の上に上り一緒にモニタを見ていたまりさが興奮気味に男をせかす。 【職務内容】 社員に対する福利厚生を目的とした活動全般 広報活動へのサポート 平易な雑務(能力による) 【応募資格】 年齢:成体ゆっくり 経験:問わず(労働経験あれば尚可) その他:飼いゆっくり登録済み、穏やかな気性、協調性必須、ありす種は去勢済みであること 【語学力】 ひらがなの読解力(漢字、英語の読解力があれば尚可) 【勤務時間】 3日~5日/週 9 00-17 30 【待遇】 15,000円~/月(昇給あり) 契約社員 「うわぁ、割と本格的だな・・・ところで英語を話せるゆっくりはいるのだろうか・・・?」 「おにーさん!どうなの?まりさだいじょうぶ?」 モニタの横でぼよんぼよんと跳ねながらはしゃぐまりさ。 うるさいので頭を手でぎゅうと押し付けながら詳細を確認する。 「ふうむ・・・一応おまえは条件的にはクリアはしているな。おい、おまえ協調性あるのか?」 「ぐむむびゅ・・・ぎょーぢょーぜいでなあに」 押さえつけられたままのまりさが半分潰れたまま質問する。いつもならこんなことするとすぐに怒り出すまりさだったが 今は希望に満ちているのか気にもとめてないようだった。 「ああ、すまんすまん、ええと他のゆっくりや人間と一緒に仲良くしたり、いう事聞いたりできるのか?」 「もちろんだよ!まりさはともだちのれいむやぱちゅりーとなかよくしてるよ!それにおにーさんみたいな いじめっこのいうこともちゃんときいて・・・」 再び手で押さえつけられてむぎゅうと言って黙る。 「まぁ確かにそうだな、おまえは他のゆっくりとも喧嘩しないし大丈夫かなぁ~って、あ・・・」 【今期のゆっくり採用の募集は終了しました】 「ハイ残念でした・・・・もう募集は終わったってさ。」 「ゆがーん・・・!!!」 ショックでそのまま机の上からぼたっと床に落ちる。 「ゆっくりした結果がこれだったな。」 落胆したまりさはしばらくふてくされて横になり、ぐでっと溶けたアイスクリームみたいになっていたが のそりと起きると男に向かって口の端をゆがめてこう言った。 「・・・はたらいたらまけかなっておもってるよ・・・」 おしまい 続く(のか?) =============== あとがき 虐待らしい虐待がありませんでしたが、まぁこういうのもいいかなと思いました。 斬新な虐待方法が浮かばなかったというのもありますが。 飛び散る餡子を望んでいた方々申し訳ない。 これまでに書いたもの うんうんの報い ゆっくり罠地獄その1 by ゆっくりジェントルマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/212.html
※舞台は何故かゆっくりが当然のように存在している外界です。 ※オリ設定満載です。 ※ぬるいじめです。そして割と愛で気味です 数年前に突如現れ、急速に社会に浸透していった(ような気のする)ゆっくりと呼ばれる新たなる生命体。 人間の生首が膨張したような容姿のそいつらは饅頭のクセに生きていたり、どこから来たのは全く不明だったりとあまりに謎が多すぎる。 が、目新しいものや珍しいものを好む人々はその「ゆっくりしていってね!」とか「ゆーっ!」などと珍妙な鳴き声をあげる未知の存在をあっさりと受け入れた。 そして私はそんな不思議に満ちた生物とはこれと言った縁もない普通の女子大生だ。 「やっぱり頑張った自分へのご褒美は塩辛に限るわ。む~しゃむ~しゃ、うめ~」 忌々しい試験期間を無事かどうかはまだ分からないが乗り切った私は、昼間っから大学の敷地内のベンチで塩辛をつまみながら、ビールを飲んでいた。 「んぐんぐんぐ・・・ぷはぁ!ZUNビールうめぇ!めっちゃうめぇ!」 彼氏は居ないし、友達も女同士の友情そっちのけで男とデート。 そんなわけで私は一人寂しくビールをかっくらっていた。何で大学でとか、そんな野暮なことは聞くな! 「ゆっくりしていってね!」 「んあ?」 すると突然何者かが声をかけてきた。 声の主のほうに視線をやるとそこには体高20cm程度の、赤いリボンがトレードマークの餡子生命体“ゆっくりれいむ”がいた。 「なんだ、ゆっくりか」 イケメンだったら良かったのに。まあ、イケメンが昼間からこんなところで酒盛りしてる奴に声をかけてくるわけがないんだけどさ。 「ゆゆっ!おねーさんはゆっくりできるひと?」 「ゆっくりせざる得ない人だよ、悪いか?」 人間の気持ちなんて何一つ理解しちゃいないド饅頭をねめつけつつ、ビールを胃袋に流し込む。 「ゆ!よかったね、おねーさん!れいむがゆっくりできるおねーさんといっしょにいてあげるよ!」 「そうかい、そうかい・・・そいつはどーも」 鬱陶しそうに、なおかつ投げやりに応えるが相手は所詮餡子脳生物ゆっくりだ。邪険にされていることに全く気付いていない。 そして、ぽよんとベンチに飛び乗って私の太ももに頬を摺り寄せると・・・ 「ねえ、おねーさん!それちょうだい!」 厚かましくも私の自分へのご褒美の塩辛を要求してきやがった。 「だめだめ、あんたにやる塩辛はないよ」 しっし、と手を振ってあっちに行けと訴えるが、れいむは全く諦めようとしない。 「ゆううううう!!」 ぷくぅっと頬を膨らませて私を威嚇し始めた。 結構膨らむのな。見た感じ体積が1.5倍くらいにはなっている。 とは言え、そんなものが私に有効なわけが無い。 「おいおい、人にもの要求するときに態度か、それ?」 苦笑しながら膨らんだ頬を突いてみる・・・・・・柔らかい! 「おおぉ・・・!」 あまりに触り心地が良かったので、調子に乗って突っつきまくる。 「ぽーにょぽーにょぽにょ、アホまんじゅう~♪」 「ゆっ!おえーさん、やめ、やっ、や、ゆっくりっ、やめてね!」 そんな感じで遊んでいると、れいむは相変わらず頬を膨らませながらも嫌そうな表情を浮かべて文句を言ってきた。 「やだ」 満面の笑みを浮かべて即答してやった。 と言うか、そんな風に言われたら・・・やるしかない、って気分になるじゃないか! 「うりうりうりうりうり~♪」 「ゆうぅ~!おねーさん、おねがいだよ!ゆっくりやめてね!」 もう頬を膨らますのを止めていたれいむは、目に少し涙を浮かべながら懇願する。 しかし、そのうっとうしくも愛らしい表情が私の中に眠るSっ気に火をつけた。 「や~だ~」 つんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつんつん・・・ 「ゆぅぅぅぅぅっぅぅぅぅぅううううううう~!?」 手を止めるつもりが微塵も無いことを悟ったれいむは少しずつ後ずさって行く。 そして、私の手はそれを追いかけながら執拗に頬を突きまくる。 「ゆううううううううう!?」 ぽろぽろと涙を零しながらも必死に後退し続けたれいむは、勢いあまってベンチから落下してしまった。 「ゆぐっ!?」 「あ・・・お~い、大丈夫か?」 落下したれいむの様子を伺うためにベンチから身を乗り出すと、底の部分を空に向けた逆立ちのような格好でれいむがひっくり返っていた。 「ゆわああああああああああん!おねーさんのばかぁ~・・・!ゆっぐ・・・!・・・ゆっぐ」 あらら、大泣きしちゃったよ。 その姿は流石に可哀そうだったし、私自身調子乗りすぎた節もある。 だから、れいむを抱え上げると膝の上に乗せて、頭に怪我が無いか見てあげた。 「あ~・・・ここ、ちょっとコブになってるなぁ~」 「ゆっ!?おねーさん、いだいよお゛お゛お゛お゛!」 どうやらコブに触れてしまったらしく、れいむはまた大声で泣き始めた。 「あははははは~・・・悪い悪い。さっき欲しがってた塩辛あげるから、それで許してくれないか?」 その言葉を聞いた途端、れいむはとても嬉しそうに微笑む。もしかして、私はゆっくりの嘘泣きに騙されたか? まあ、いいかと心の中で呟きながら、塩辛の蓋を開け、箸でつまんで膝の上のれいむの口へ持っていってやった。 「ゆゆっ!むーしゃむーしゃ、しあわ・・・ゆうううううう!?」 れいむは4,5回咀嚼してから、クワッと目を見開いて、塩辛を吐き出した。汚いなぁ・・・そしてもったいない。 「ゆんゆんっ!おねーさん、こんなしょっぱいのたべられないよ!!」 「ん?そうか、口に合わなかったかぁ~」 「ゆぅ!ほかにないの?!」 よっぽど口に合わなかったのか頬を膨らませて怒りをアピールしながらも舌を出しっぱなしにしている。 器用なやっちゃ。 「他?そうだなぁ・・・」 ガサゴソと近所のスーパーの袋を漁ってみると、何故か売っていたジョロキア、たこわさ、焼きスルメ、カカオ99%のくそ苦いチョコレート、メントスとダイエットコーラなどが出てきた。 あとは500mlのZUNビールが4本ほど入っている程度だ。 「じゃあ、たこわさでも食うかい?」 「ゆぅ?それおいしいの?」 「ああ、美味しいよ」 首をかしげるれいむに微笑みながらたこわさを取り出してさっきと同じように口の中に放り込んだ。 「むーしゃむーしゃ、しあわ・・・ゆぎゅうううううう!!?」 あ、また吐き出した。人の膝の上で吐き出すものだから私の安物のジーンズが汚れてしまっている。 「あんたねぇ・・・食べ物を粗末にしすぎだよ?」 また、さっきと同じように舌を出しているが、今度はこきざみにぷるぷる震えている。 「だ、だっでぇ・・・ごんなのだべでないよ゛っ!」 「えー、美味しいのに・・・」 そう言って私は2口ほどたこわさを食べる。うん、やっぱり美味しい。 「おねーさん!ちょこあったでしょ?れいむちょこがたべたいよ!」 ああ、本当に厚かましくて可愛いなぁ~。だが、あのチョコは私の夜のおやつなんだ。 「えー」 「ね、おねーさん?」 露骨に嫌そうな顔をする私を潤んだ瞳で上目遣いに見つめてくる。 う~ん、別に可愛いとは思わないな。 「よし、じゃあ・・・お姉さんとじゃんけんで勝負して私が100勝するまでに1回でも勝てたらチョコをあげようか?」 「ゆ!じゃんけんってなに?ゆっくりできるもの?」 おおう、嬉しくなるほど予想通りの反応。とりあえず、私はれいむにじゃんけんのルールを教えてあげた。 「それなららくしょーだよ!おねーさんがいっぱいかつまでにれいむがいっかいかればいいんでしょ?」 「ああ、そういうことだ。それじゃ、さっさと始めるよ?」 そう言うとれいむは思いっきり空気を吸い込んだ。 「じゃんけ~ん、ぱー!」 れいむを見ると思いっきり頬を膨らませている。ちなみに、これは手の無いれいむのために私が決めてあげたグーのポーズだ。 「ゆぅ!まけちゃったよ!」 「よし、一勝!でも、まだまだ99勝もしなくちゃならないからなぁ~・・・」 「ゆゆっ!こんどはまけないよ!」 「よし、それじゃ2回目。じゃんけ~ん、グー!」 グーを出し、れいむを見てみると下を向いて両目を閉じている。これはれいむにとってはチョキに相当する。 「やった、2勝目!」 「ゆううう!また負けちゃったよ!」 「まあまあ、まだまだ先は長いんだし。三回目行くよ?じゃんけ~ん、チョキ!」 れいむは背中を向けている。別にじゃんけんに飽きたわけではない。これがパーのポーズなのだ。 「よし、三連勝!でも、先は長いなあ~」 「ゆゆ!またまけちゃった!でも、まだまだがんばるよ!」 そんな感じで、私とれいむは15分ほどひたすらじゃんけんを続けていた。 そしてその間に私が事前の呼吸や、向きの変更を見てれいむの手を把握していることに気付くことは無かった。 「はっはっは!98連勝!」 「ゆううううううううう・・・」 流石にここまで負け続けてはのん気なれいむも涙目にならざる得ない。 「どぼぢでがでないのおおおおおお!もうやだ!おうちかえる!」 「まあまあ、あと2回だけなんだし。頑張ろうや、な?」 ぽろぽろ涙を零しながらもれいむが「う゛んっ!」と勝負に合意するのを確認すると、再び掛け声をかけた。 「じゃんけん、パー!」 一方のれいむは下を向いて目を瞑っている。つまり、チョキだ。 「ゆ?ゆゆっ!れいむかったの!?」 信じられないといった風な表情で私に確認をとるれいむ。その姿に思わず噴き出しそうになるのをこらえながら応えてやる。 「ああ、そうだよ。お前の勝ちだ。だからチョコレートを食べても良いぞ?」 「ゆゆっ!やったね!これでゆっくりできるよ!」 じゃんけんが終わって、再び膝の上に戻ったれいむは歌らしき何かを口ずさみながら、私がチョコレートを差し出すのを待っている。 「ゆっくりできるよ~、ちょこれーと♪とっても~あまいよ、ちょこれーと♪」 ごめん、このチョコは凄く苦いんだよ。 「はいよ。今度は吐き出すなよ?」 「ゆ!そんなことしないよ!むーしゃむーしゃ、しあわ・・・ゆぶふぇええええええ!!」 奇声を上げながら、れいむは今日一番と言っても過言ではないほど盛大にチョコレートを吐き出した。 エレエレエレエレエレエレエレ・・・。 うわぁ、ついでに餡子も吐き出しやがったよ。ジーパンがグチョグチョだわ・・・まあ、いいけど。 「おいおい、あんた吐き出しすぎ・・・」 呆れながら、お仕置きの意味も兼ねてれいむの両頬をつまんで引っ張ってやる。 「ばっへぇ・・・あほほえーほいがかかったんあほん!」 しかし、この饅頭柔らかいっすねぇ!本当に皮が良く伸びる。 そうやって調子に乗って引っ張っていると 「ほへーはん、ゆっふひやべでね!」 「びろ~ん、びろ~ん、びろりろり~ん♪」 ああ・・・このほっぺの柔らかさは反則だわ。すごく気持ち良い。 「ゆゆっ!まりさのれいむになにをするんだぜ!」 「んあ・・・?」 不意にどこからともなく声が聞こえてきた。辺りを見回して声の主を探すと、そこにはゆっくりまりさが私の足に懸命に体当たりしていた。 「まりふぁ!」 「れいむ、もうすこしのしんぼうだぜ!まりさが、すぐにたすけるんだぜ!」 そう叫びながら必死に体当たりをしているが、全く痛くも痒くもない。それどころか、まりさが作用に対する反作用でダメージを受けている。 その様子を見ていると、なんとなく気の毒になってきたので、私はメントスとダイエットコーラを掲げて、まりさも一緒にゆっくりしないかと提案した。 もちろん、れいむの頬を引っ張るのも止めてあげた。すると、あっさり私のことを許してくれた。 「ゆ!まりさもおねーさんといっしょにゆっくりするぜ!」 「も」とは言うものの、れいむはそんなにゆっくり出来てなかったけどね。 「はいよ」 まりさの口にメントスを10粒ほど放り込んでやる。 「うっめ!めっちゃうめぇ!」 「ゆ!れいむもほしいよ!」 「チョコを全部食べてからだよ」 「ゆううううううううううう!」 「ははっ、冗談だよ。ほら、口をあけて?」 今度はれいむの口にメントスを放り込む。 それから独り酒のつもりが思いのほかにぎやかな酒になったな、などと思いながら2匹にダイエットコーラを飲ませてやった。 「「ゆ~♪」」 口の中にメントスを貯めたまま、コーラを口に含んだ2匹は見た目は意地汚くて見苦しいが、非常にゆっくりしているように見えた。 確かにそう見えたのだが・・・ 「「ぼぉ!?ぼぉぼぼぼおおおおおおぼぼっぼぼおおお!?」」 突然、2匹そろってコーラを噴水の如く吹き上げた。それも、ちょっとゆっくりの常識からは考えられないほどの勢いで。 「・・・・・・はあ、何なんだよ、これ?」 私はコーラまみれで呆然とするしかなかった。そして、傍らではコーラを吹き終えた2匹が再びエレエレしている。 テストも終わったので人通りは少ない。とはいえ、流石にあの噴水が人目を引いたらしく、人が集まってくる。 そうして、いつの何か出来上がっていた人だかりに気付いた私はスーパーの袋と2匹を抱えて、自宅へと逃げ帰った。 「っち、ここじゃゆっくり出来ないね!!」 「で、とっさに連れて帰ってきたけど・・・どうするよ、これ?」 現在独り暮らしをしているアパートに戻って、コーラまみれの体と衣服をどうにかするために風呂場に向かった私は、今になってここがペットの飼育禁止であることを思い出した。 いや、そもそも飼うつもりなんて微塵もないんだけど・・・どっちにしてもこいつら、どうしたものか? 「ねえ、おねーさん!れいむたちべとべとだからからだあらってね!」 「それからみんなでゆっくりしようね!」 なんと言う厚かましさ。だが、そこが良い。何だかくせになるのものがある。 そのゆっくりっぷりを見ていると「さっきのコーラ噴射のことをもう忘れてるのかよ」とか「何で途中でこいつらを捨てなかったんだ」とかそんな疑問は些細なことのように思えてくるよ。 「・・・まあ、何とかなるか?」 とりあえずさっさと服を脱いで、お湯をためながられいむとまりさを洗ってあげる。 「ゆ~、ゆ~♪」 「気持ち良いか?」 「ゆ!すっごくきもちいいよ!」 「そうかそうか。そりゃ良かった。でも、お前ら水苦手なんじゃなかったっけ?」 「ずっとつかってるとあぶないよ!でも、みずあびはすきだよ!」 浴場の床にあぐらをかいて、足の上にれいむを乗せた格好で、桶に溜めたぬるま湯でタオルを濡らして、丁寧にれいむの体を拭いてやる。 まりさはその傍らで、気持ちよさそうに目を細めるれいむをじっと見守っている。 「ゆゆっ!おねーさん!そのぬるぬるすごくきもちいいよ!」 当然といえば当然だが、こいつらにとってボディソープやシャンプー、リンスを使うのは初めての体験だろう。 そのあまりの気持ち良さにうっとりとしている。途中、シャンプーが目に入って絶叫していたのはご愛嬌か。 2匹を洗い終えてから、私自身の髪や体を洗い、それから2匹と1人で湯船につかる。 と言っても、れいむとまりさを湯の中に放り込むわけにはいかないので、れいむには風呂桶に入ってもらい、まりさは私が抱きかかえることにした。 外よりもずっと温かい風呂場でほっと一息をつく。 「おねーさん、すごくやわらかいね!」 生意気にも私の胸に頬ずりしながらそんなことを抜かすのは抱きかかえられているまりさ。 「・・・ん~、そうか?」 もっとも、そんなことを言われたところで自分では良く分からないのだが。 「うん、れいむのほっぺよりきもちいいよ!」 普通なら「パートナーに怒られるぞ」とか「ゆっくりと比べんじゃねえ」とか「もう、まりさってばえっちぃ」とでも反応するところなのだろうか。 しかし、私はれいむの頬の触り心地を思い出しながら、痴漢をする男の心境がなんとなく理解できるなぁ、なんてことを考えながら「そりゃ、どうも」と適当に返事しておいた。 それからまりさの頬をひっぱって、その柔らかさにしばし感動し、「愛でお兄さんはおっぱいフェチなんだろうか?」などとくだらないことを考えながら、風呂から上がった。 私が着替えのためにリビングに向かうと、先に体を拭いてやったれいむとまりさがソファの上でゆっくりしていた。 なんとなく枕にしたら気持ちよさそうだな、と思った時にはすでに2匹を枕にしていた。 そして、ちょっと昼寝のつもりが6時まで寝てしまった。れいむとまりさには「おもくてあんこがもれそうだったよ、ぷんぷん!」と怒られた。 それなら起こして言ってくれればよかったのに、と反論したら「おねーさんがぜんぜんおきなかったんだよ!」と更に怒られた。 でも、晩飯を一緒に食べようと提案したらあっさり許してくれた。流石は餡子脳だ、可愛いなぁ。 そんなわけで現在午後7時13分。テーブルの上にはしょうが焼きと味噌汁とほうれん草のおひたしと梅干の乗ったご飯、それかられいむとまりさのために作ったおにぎりが置かれていた。 私が手を合わせて「いただきます」と言うと、れいむ達もそれに倣う。 「「いただきま~す!」」 ちなみに、れいむ達のご飯は握りこぶし大のおにぎりが5つ。 右から焼きスルメおにぎり、塩辛おにぎり、たこわさおにぎり、カカオ99%チョコおにぎり、そしてジョロキアおにぎり。 具になりそうなものが無かったので、見ての通り、さっき酒のつまみに買ってきたものを入れてみたのだが・・・ 「む~しゃむ~しゃ、しあわせ~!」 「うっめ、これめっちゃうめぇ!」 焼きスルメは好評。若干辛みがあるとは言え、子どもで平気で食べられるものだからさすがに大丈夫だったようだ。 「ゆ!かたい!かたいよ!」 「かみきれないよー!」 と、思ったんだが・・・どうやらゆっくりの歯ではスルメを噛み切れないらしい。 どれだけ貧弱なんだお前ら。 「むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」 「うっめ、これめっちゃうめぇ!」 次の塩辛おにぎりとたこわさおにぎりは意外に好評だった。 どうやら、ご飯がいい具合に辛さなどのゆっくりが苦手とする味に対する緩衝材になったらしい。 けれど、おいしそうにおにぎりを食べる二匹を見たとき、正直ちょっとだけつまらないなぁと思ってしまった。 虐待趣味は無いつもりだったんだけどなぁ・・・。 「れいむ、にんげんのごはんはおいしいね!」 「そうだね、まりさ!つぎのおにぎりもきっとおいしいよ!」 次のおにぎりはカカオ99%チョコレートおにぎり。人間だったらこの組み合わせを見ただけでしかめっ面をしそうな代物だ。 「むーしゃむーしゃ、しあわ・・・ゆぎゅううううううう!!」 「うっめ、これめっちゃうげえええええええええええええ!!」 やっぱり、このチョコレートの苦みはゆっくりにとっては毒にも等しいものらしい。 ご飯のおかげでさっきのようにエレエレすることはなかったが、テーブルの上を苦しそうに転げまわっている。 「おーい、大丈夫か~?」 「ゆべっ!だいじょうぶじゃないよ!どうしてにがいのいれるの!」 「ひどいんだぜ、おねーさん!まりさたちおこるぜ、ぷんぷん!」 もう何度目になるかもわからない怒りのアピール。このぷくぅと頬を膨らませる姿が可愛くて仕方ない。 「あはは、余ってたもんだから勿体無いと思って、ついね・・・ごめんな」 顔の高さで手を合わせて少し頭を下げるようなしぐさを交えつつ、素直に謝るとれいむ達はあっさりと許してくれた。 「ゆぅ・・・はんせいしてるならいいよ!」 「れいむ、さいごのいっこもたべちゃうんだぜ!」 「ゆ、そうだね!むーしゃむーしゃしあああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 「うっめ、これめっちゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 何だその絶叫?と突っ込んでやりたいところだが、この後エレエレするのは火を見るより明らかなので、その前に二匹の頭を掴んで、互いを正面から密着させる。 エレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレ・・・ エレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレエレ・・・ 本日何度目になるかも覚えていないエレエレタイム。しかし、今回は2匹の口がぴったりとくっついているので、それが周りのものを汚すことはなかった。 「・・・エレエレエレエレ・・・むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」 「・・・エレエレエレエレ・・・うっめ、これめっちゃうめぇ!」 「エレエレしたものを、食うなっ!!」 気がついたときには電光石火の突っ込みでこピンを放っていた。 ゆっくりで遊ぶのに夢中になっていて、気がつけば日付が変わっていた。 そのことに気づいた私は思わず顔をしかめる。 「うわぁ・・・もうこんな時間か。さっさと寝よ」 明日は1限目から授業があり、それに夕方からはバイトもある。 だから今日は早めに寝て明日に備えるつもりだったのだが・・・新しいおもちゃの魔力は想像を絶するものだったのだ! 帰宅した時点ですでにお気に入りのピンクのストライプ柄のパジャマに着替えていた私は電気を消して、もそもそと布団にもぐりこむ。 が、私の枕元でれいむたちが泣きじゃくるので簡単に寝付けなかった。 「ゆううううう!くらいよおおお!こわいよおおお!!」 「おねーざん、あがるぐぢでえええええええええ!おばげがででぐるよー!!」 こいつらがやたらと怯えているのには理由がある。 その理由というのは8時ごろから観始めた『ゆ霊の盆踊り』という映画だ。 登場人物が全員ゆっくりで、その斬新過ぎる試みと、どうしようもない演技と、ホラーとは無縁のふざけた笑顔などさまざまな要素があいまって映画史に名を残した伝説の作品だ。 もちろん、映画関係者どころか、映画に関する知識なんてろくに持ち合わせていない一般人からも非難轟々。 そんなわけで、本来ならば映画館で上映されることすらありえなかったのだが、この作品には有名な美人女社長率いるゆっくりカンパニーという強力な後ろ盾があったため、無事上映にこぎつけたという。 聞くところによれば、この映画は「ペットのゆっくりと一緒に鑑賞できる」&「(良くしつけられた)ゆっくりの館内限定貸し出し」というサービスを行っていたらしい。 そして、私はその目的も効果も存分に味わう羽目になった。 「おばけさんこわいよおおおおおおお!!」 「あ、ありすこわいいいいいいいい!」 「で、でいぶがあああああああああ!!」 「おねーざんー、ごわいいいいいいい!!」 「「ごれじゃゆっぐぢでぎないよ!!」」 などなど、終始こんな調子で泣き叫びながら、私にすがり付いてくる。 そりゃ、この作品が上映される前のゆっくりの知名度が低かったころなら、この姿にだまされて飼いたくなる人もいただろうな。 以上が今までにも毎日のように接してきた宵闇をこの2匹が恐れる理由だ。要するにお化けが怖いらしい。 どうせ、ほっときゃそのうち寝るだろ。 そう判断した私は心頭滅却して2匹の泣き声を風の音か何かと思い込んで、とっとと寝ることにした。 「はいはい、おやすみ」 「「おねえざあああああああああああああああああああああああああん!ねぢゃいやあああああああああああ!!」」 そんな感じで、翌朝・・・ 「「「「「「ゆっきゅりちちぇっちぇね!」」」」」」 「・・・なに、このちょーてんかい?」 朝の日差しにたたき起こされた私の寝ぼけ眼に映ったのは産まれたてと思しきゆっくりの赤ん坊。 その数れいむ種3匹、まりさ種3匹の6匹。 「おねーさん!れいむのあかちゃんかわいいでしょ!」 「すごくゆっくりしたこだよ!これでおねーさんもゆっくりできるね!」 すまん、私にも・・・というか私でもわかるように説明してくれ。 「ゆゆっ!れいむたちね、よるすごくこわかったんだよ!」 ああ、怖がってるの無視して電気消して寝たからなぁ・・・・・・で? 「だからね、れいむとはなしてたらわかったんだぜ!おねーさんはゆっくりしたいからむしするんだって!」 まあ、睡眠ってのは人間の三大欲求なわけで、確かにその欲求を満たしたかったから無視して寝るという選択をゆっくり的に解釈すればそうなるだろう。 「それでね、おねーさんはゆっくりできればれいむたちをむししないんだよ!」 ・・・なぜ決定事項なんだ? 「だからまりさたちのゆっくりしたあかちゃんをみせてあげることにしたんだぜ!」 つまり、そういう事らしい。 ・・・・・・どういうことだよ。 「あぁ、やっぱりゆっくりの考えることはわからんわ・・・」 私はこのおちびもを捨てた場合の処理代やら、飼う場合の餌代やらを計算しながら頭を抱えることしかできなかった。 ---あとがき?--- たまにはぬるいじめでも、と思って書いてみた結果がこれだよ! どうでもいいことだけど、作中のおねーさんはドスなおっぱいの持ち主です。 byゆっくりボールマン 続き このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4079.html
※現代設定注意 作者:名も無き埴輪 「ここいらは都心に近い割に比較的静かなんで暮らしやすいと思いますよ。」 「はぁ……」 「こちらが部屋の鍵となります。今後とも良いお付き合いをしたいですね。」 「ええ、はい……」 気の抜けた返事を管理人さんに返しながら俺は今日から自分の住居となるアパートを見上げていた。 築40年は経ってそうな古いアパート。風呂なし・トイレは共同の四畳半の部屋。 一応キッチンはあるものの流しとカセットコンロが置かれてるだけだ。 後から無理に流し部分を取り付けたのか半ば押入れに食い込んでいて、押入れはもう半分しかその機能を果たしていない。 水道管も無理やり引っ張ってきたようで剥きだしになっている。 「最後に入居者さんが出て行ったのはいつだったかねぇ。 ここ最近は全く入居したいって人がいなかったから取り壊そうかとも思ってたんだよ。」 「そうですか……」 「ああ、心配しなくてもいいよ! 住んでくれる人がいる限り取り壊したりなんてしないから!!」 「ありがとうございます……」 俺がこんな古アパートに住む羽目なったのは趣味が災いしたせいだ。 地元では実家の周りが田んぼや自然に囲まれてるおかげかゆっくりがたくさん生息していた。 自然の中でだけ生息していればこちらもわざわざ手出しはしないのに 人家に近づいて庭などを荒らすゆっくりが多発した。 市の方でもいくつか対策は立ててくれたもののゆっくりの余りの多さに手が追いつかない状態だった。 そうなると住民たちは自分たちで対策を立てることになるのだが 俺はゆっくりを追い払ったりしている内にじっくりといたぶり 痛めつけることに快感を感じるようになっていた。 人目に付かないように気をつけてはいたものの一度虐待しているところを 目撃されてしまってからは流石田舎だけあって噂はまたたくまに広がった。 「こんな異常者が近くにいては白い目で見られる」という理由で俺は実家を追い出された。 アルバイトもせずにだらだらと過ごしていた俺には当然貯金などあるわけもないが 親からわずかばかりの金を渡されたのでせっかくだからと上京してきた。 不動産屋さんからこのアパートまでの道中にもゆっくりを見かけたが 俺の地元に住んでるゆっくりとは違い、住民たちにもある程度受け入れられているようだった。 気になって管理人さんに聞いてみたがここら辺に住むゆっくりは皆愛想が良く ゴミ荒らしなどもしないため住民たちが餌を与えたりしているらしい。 俺の地元に住んでたゆっくりなんか人間を見かけようものなら 汚らしい言葉で罵り、餌の要求をしたりしたものだが流石都会だなぁ。 住んでるゆっくりまで華やかなようだ。 これからの生活を脳裏に思い浮かべながら、俺は管理人さんに別れを告げて部屋へと入っていった。 夜。 荷物が届くのは明日以降なため、使い慣れた布団と枕が無いせいで俺はなかなか眠りにつけないでいた。 何度も寝返りを打っているとアパートの裏手から何やら声が聞こえてきた。 「ゆっふっふ。きょうもにんげんさんたちからいっぱいごはんがもらえたね!」 「ゆっくりできないにんげんさんでもれいむたちにごはんをわたしてるおかげでゆっくりできてるね!」 「ゆゆん! いなかもののにんげんさんにもすこしはとかいはなところがあるようね!!」 俺はゆっくりたちの台詞を聞いて愕然とした。 昼間はあんなに愛想を振り撒いていたのに、その裏では人間を見下していたというのだ。 これでは地元にいたゆっくりたちと何も変わらないじゃないか。 何かに裏切られたような感じに包まれた俺は裏手に面した窓を開け放って一喝した。 「おらぁ! クソ饅頭どもうっせぇぞ!!」 『ゆゆっ!?』 電気を消していたので人がいるとは思わなかったのかゆっくりどもは 何十センチか地面から飛び跳ねてから壊れたロボットのようにギギギとこちらに振り向いてきた。 「にんげんさん、びっくりさせないでね! れいむたちをゆっくりさせてね!!」 「何今更取り繕ってんだよ! てめぇらが人間様を見下してるクソ饅頭だってことはとっくに分かってんだよ!!」 俺が怒鳴りつけるとゆっくりたちは押し黙った。 これで静かに眠れると思って窓を閉めようとした瞬間、俺の耳にゆっくりの言葉が聞こえてきた。 「ゆふ~ん、ばれちゃったみたいだね」 「……?」 ゆっくりらしかぬその落ち着いた物言いに疑念を抱いた俺は再びゆっくりたちに視線を向けて驚いた。 数匹いたゆっくりたち全部が小憎たらしい顔でこちらを眺めていたのだ。 「それでおじさんはどうするの? ほかのにんげんさんたちにれいむたちのことをおしえる?」 「おじさんのいうことしんじるにんげんさんなんていないよ。 ほかのにんげんさんはみんなまりさたちのどれいだよ。」 「はぁ? お前ら何言って……」 そこまで言いかけて俺は気づいた。 昼間の住民たちのあのゆっくりの可愛がりよう。 なるほど。調子に乗りやすいゆっくりらしい。 人間が自分たちを可愛がるのは自分たちが優位に立ってるからだと思っているようだ。 「ゆふふ。気づいたみたいね。ほかのにんげんさんたちはありすたちのみりょくにめろめろなのよ!」 それならこっちにも手がある。 俺はゆっくりたちに視線を固定したまま、腰をかがめて足元に置いていた充電中の携帯を拾い上げた。 手探りで携帯に内臓されているボイスレコーダーの機能をONにする。 最近の携帯は便利なものでSDカードさえ挿していれば長時間の録音も可能なのだ。 俺はこのゆっくりどもの本性を録音し、他の住民たちにそれを教えてやろうと企んだ。 「おい、クソ饅頭ども……」 くっくっく。明日から吠え面をかくゆっくりどもの姿が眼に浮かぶようだぜ。 あの後俺は適当にゆっくりどもを挑発し、汚い言葉でこちらを罵る音声を録音した。 そして次の日に早速、前日の昼間にゆっくりたちが住民に可愛がられていた場所へと向かった。 もしかして毎日場所を変えたりしてるのじゃないかと心配したが どうやらそこは定位置らしくちゃんとゆっくりたちが現れた。 こちらに“ちら”と目を向けてきたもののすぐに興味を失ったようで 通りがかる登校中の子供に愛想を振舞っていた。 俺はと言うとあのゆっくりたちの本性を録音した音声を聞かせようと 子供たちに近づこうとしたら低学年の子の付き添いに来ていた親御さんに 不審者でも見るような目を向けられてそそくさと逃げられてしまった。 話には聞いていたけど都会の人たちはなんて冷たいんだ。 通学の時間帯が過ぎ、暇を持て余した専業主婦らしき人たちが ゆっくりたちを囲んで井戸端会議をしていた。 時折、ゆっくりたちを可愛がったり持っていたお菓子などを与えていた。 今度こそゆっくりたちの本性を聞かせようと奥様たちに近づいたが 今度は俺の話が聞いてもらえないばかりか根掘り葉掘り質問してきて 仕舞いには「若い男っていいわね。どう? お姉さんと火遊びしてみない?」 などとモーションを掛けられる始末だった。 これが20代の若奥様だったりしたら願ったり叶ったりだったのだが 悲しいかな、その場にいたのは40代、50代のマダムばかりだった。 愛想笑いで何とかモーションを断っていると今日は半ドンだったのか子供たちが学校から帰ってきていた。 しかし、音声を聞かせようとしても朝と同じように不審者を見るような目で 低学年の子の親御さんに連れられ、逃げられてしまった。 何度かそのようなやり取りを繰り返した後。 何とかマダムたちに録音した音声を聞かせることに成功はしたのだが…… 「れいむたちはそんなきたないことばつかわないよ!」 「きっとべつのゆっくりのこえだよ!」 「そういえばそんな気もするわねぇ……」 「ゆっくりの声なんてどれも似たようなものだものねぇ……」 「そんな! よく聞いてみてくださいよ! 絶対こいつらの声で間違いないんですから!!」 「そんなこと言われてもねぇ……」 さっきまであんなに熱烈なモーションをかけてきていたマダムたちも ゆっくりどもの言い訳をすっかり信じてしまい俺の秘策はあえなく敗れた。 今までの可愛らしいゆっくりたちのイメージはなかなか壊れないようだ。 俺はアパートの部屋で打ちひしがれていた。 ゆっくりたちの本性を住民たちに知らしめることができなかったからだけでなく 引越し屋さんの方で何やらトラブルがあったらしく荷物が届かずに 2日連続で畳の上に直に寝ることを余儀なくされたからだ。 なかなか寝付けずに何回も寝返りを打っていると裏手の方から 窓に何かがこつこつと当たる音が聞こえてきた。 「何だ?」 疑問を声に出しながらも俺はそれが何なのか知っていた。 実家にいた頃はよく聞いた音だ。 「ゆゆっ! ようやくでてきたね! ゆっくりしすぎだよ!!」 「やっぱりお前らか。」 窓の外には案の定ゆっくりどもがいた。 口に小石を銜えて窓に向かって飛ばしていたようだ。 「何の用だ?」 「ばかなにんげんさんはばかなにんげんさんなりに あたまをつかったみたいだけどむだだよ!」 「ほかのにんげんさんはまりさたちのどれいだってことが きょうのことでよくわかったでしょ?」 「これにこりたらあなたもありすたちのどれいにしてあげないこともないわよ?」 「ありすはあいかわらず“つんでれ”さんだね!」 「べ、べつにありすは“つんでれ”なんかじゃないんだからね!」 「あー、黙れ黙れ。うっさい。」 ゆっくりどもの間で胸糞悪い会話をし始めたので俺は制止した。 「めんどくさいからお前らもう俺に関わるな。 俺もお前らに関わらないようにするから。」 「ゆゆ~ん! とうとうおじさんもかんねんしたみたいだね!!」 「ふん! どれいのぶんざいでまりさたちにさからわないでよね!!」 (ぷっ) (かつん) 「いでっ!?」 まりさが言葉とともに口に銜えて飛ばしてきた石が俺に当たった。 所詮ゆっくりの力なので言うほど痛くはなかったものの 頭にカッと血が上った俺は足元に落ちたその石を全速力でゆっくりどもに向かって投げ返した。 「ゆびぃ!?」 「ま、まりざぁぁぁ!!」 「おべべが……おべべがみえないよぉぉぉぉぉ!?」 「まりざ、ゆっぐりじでぇぇぇ!!」 どうやら投げ返した石はちょうどまりさの目にクリーンヒットしたらしい。 どこかすっとした俺は晴れ晴れとした気持ちで窓を閉めて畳に寝っ転がった。 外からは依然ゆっくりどもの叫び声が聞こえていたが 地元にいたことに聞き慣れていたため、俺はゆっくりと夢の中へと意識を沈めていった。 翌日。 バイトを探すためにバイト情報誌を近くのコンビにまで取りに行った俺は 自分が周りから奇妙な目で見られていることに気が付いた。 この目の感じはよく覚えてる。 地元にいた頃に虐待趣味が周りにバレたときの目と瓜二つだ。 嫌な感じがしてあのゆっくりどもの定位置となってるらしい場所へと 向かった俺は予想通りの光景を目の当たりにして眩暈がした。 昨日偶然石を目にぶつけたまりさと他のゆっくりたちがこぞって まりさをこんな目に遭わせた酷い人間さんのことを訴えていた。 「れいむたちはおうたのれんしゅうしてただけなのに あのにんげんさんはいきなりあらわれてまりさにいしをぶつけてきたんだよ!」 「れいむ、いいんだよ。きっときづかなかっただけでまりさがわるいことしちゃっただけなんだよ。」 「まりさ……」 嫌らしいのは俺が一方的に悪者みたいに話を捏造していることもだが 被害者であるはずのまりさが自分に非があったんだと訴えていることだ。 あのゆっくりたちは人に同情させる術をよく心得ていやがる。 「あ! いしをぶつけたおにいさんだ!」 憎々しげにゆっくりどもを眺めていたらそのうちの一匹がこちらに気づいてしまった。 「おにいさんごめんね。まりさがわるかったんだよね。ごめんね。」 隻眼となったまりさがこちらに謝罪の言葉を投げかけてくるが 周りにいた人たちは俺を犯罪者を見るような目で見ている。 その視線に耐え切れなくなった俺はこそこそとその場を離れるしかなかった。 「くっそー、あのクソ饅頭どもめ……!」 やっと届いた家財道具に囲まれて俺は部屋でひとり不満を顕わにしていた。 「なんとかしてこの鬱憤を晴らしたいな……あ」 思い出した。家財道具が届いたってことは“あれ”もどこかに入ってるはずだ。 ダンボールを片っ端から開け放って“それ”を見つけたときに奴らの声が聞こえた。 「ゆっふふ~ん。うまくいったね!」 「おめめはみえなくなったけどにんげんさんたちにいっぱいあまあまもらえたよ!」 「ゆん! わざとけがしてもっとあまあまもらおうよ!!」 「ゆゆ~ん……でもいたいいたいはいやだよ」 どうやらまた悪巧みをしているようだ。 しかしお前らの命運もここまでだ! 「やあ、れいむたち。今まではごめんね。お詫びにたくさんお菓子持ってきたよ。」 「ゆっ! おじさん何しに来たの!?」 流石に警戒されているようだ。あまあまと聞いても警戒を緩めない。 だが所詮はゆっくりよ。 「おじさんが愚かだったよ。おじさんなんかじゃれいむたちには 全然敵わないよ。奴隷になるから許してくれないかな?」 「ゆゆっ! よーやくかんねんしたみたいだね!!」 「あまあまちょーだいね!」 「ああ、当然さ。」 お菓子を地面にばら撒く。 途端にゆっくりどもはお菓子に群がってわき目も振らずに貪っている。 『むーしゃむーしゃ……しあわせー!』 「さてと、と……」 (かぽん) 「ゆ? あまあまさん、ゆっくりしていってね?」 外側の方にいるゆっくりに虐待お兄さん御用達の透明ケースを被せて捕獲する。 ゆっくりはお菓子の方が離れて行ってるように見えたようだ。 他のゆっくりたちはお菓子に夢中でこちらの行動には全く気づかない。 俺はこの調子で全部のゆっくりを透明ケースに捕獲した。 数週間後。 ここらでは名物だったゆっくりは姿を消した。 最初は住民たちもゆっくりの行方を心配していたが 今までゆっくりがいた場所に猫が居つくようになると 住民たちの興味はそっくりそちらへと移った。 所詮ゆっくりたちの価値などその程度だったということだろう。 俺に向けられていた白い目も地域の奉仕活動などに 積極的に参加することでだんだんと緩和されていった。 その日もようやく見つけたアルバイトから帰ってきた 俺は部屋に待つ愛しの彼女たちに出迎えてもらう。 がたがたと揺れるケースたちを目の前にして俺はゆっくりと笑みを浮かべた。 今までの収録作品 ゆっくりいじめ系1773 実験 ゆっくりいじめ系2044 かくれんぼ ゆっくりいじめ系2141 ゆンプリンティング ゆっくりいじめ小ネタ378 ゆっくりスパーク 未収録作品 fuku4831 “とかいは”じゃないありす このSSに感想をつける